フジ月9、“恋愛ドラマ“からの路線変更は是か否か? 『民衆の敵』高橋一生の役どころを考察

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 月9ドラマ『民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜』(フジテレビ系)が、11月6日の放送で第3話を迎え、平均視聴率が7.5%(数字は関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録した。初回放送の平均視聴率は9.0%。前回、第2話の視聴率は7.1%と大きく数字を下げたが、多少の巻き返しが見て取れる。

(参考:今期、もっとも観るべきドラマは? ドラマ評論家が選ぶ、秋ドラマの注目作ベスト5

 『民衆の敵』は、主演に篠原涼子を迎え、高橋一生、石田ゆり子、田中圭ら実力派俳優が名を連ねた“市政エンタテインメント“。若者向けの恋愛ドラマを数多く出してきたフジテレビ月9枠が、新たなジャンルに挑戦した意欲作だ。前クールの『コード・ブルー』が高視聴率を獲得したこともあり、その仕上がりに期待していた視聴者も多いはずだ。

 中でも注目となっているのは、高橋一生だろう。高橋は、昨今トップクラスの人気を誇る俳優で、ドラマの盛り上がりを左右するキーマンである。前クールにて、竹内涼真が『ひよっこ』(NHK総合)、『過保護のカホコ』(日本テレビ系)の2作品に出演し、どちらにおいても高視聴率をマーク。有村架純と高畑充希というトップ女優ふたりとの恋愛模様に注目が集まり、時の人としてお茶の間を騒がせたのは、記憶に新しいところ。今期においては、高橋がそれに近い状況にある。『民衆の敵』に加え、朝ドラ『わろてんか』(NHK総合)にも出演していることは周知の通りだ。

 昨日放送された第3話では、佐藤智子(篠原涼子)が誘拐事件の犯人とされる今井一馬(渋谷謙人)の冤罪を晴らすため、藤堂誠(高橋一生)と共に捜査を始める。前回までとは一変し、ミステリー要素の強いストーリーであった。藤堂は、好奇心から佐藤の相方として捜査をする。第2話にて「政治家として何をするのか見てみたい」と佐藤に話していた藤堂は、彼女といる時には一際輝いて見えた。その演技の特徴のひとつには、畳み掛けるような話口調がある。彼のブレイクのきっかけになった『カルテット』(TBS系)、そして『わろてんか』にも通じる、ユニークでありながら品のある一面をのぞかせるシーンだ。

 一方、Twitterで「民衆の敵」をサーチすると、視聴者の話題はドラマが伝えている地域のセーフティネットや児童施設問題、炎上するネットの時代性よりも、市政のプリンス藤堂誠(高橋一生)のプライベート、風俗嬢に夢中になるそのキャラクターに関心が注がれていた。いずれは、藤堂の闇の部分が晴らされることで、物語に大きな変化をもたらすのかもしれないが、これまでは本筋とは異なるところで注目されてきた印象だ。

 藤堂というミステリアスなキャラクターに、高橋が適任なのは間違いない。ただし、視聴者がいま、高橋一生に求めるものの多くは、個性派イケメン俳優としての魅力であり、それがもっとも発揮できるのは、やはり恋愛シーンだろう。だが、今回の月9は恋愛ドラマではなく、高橋演じる藤堂が篠原演じる佐藤智子と恋に落ちることもなさそうだ。

 となれば、高橋には仕事を通じて憧れを抱かせるような、ミステリアスかつクールな大人の男を演じてほしいとの気持ちも生まれる。シャワーシーンやベッドシーンだけではなく、しっかりと物語のテーマに立ち向かっていく“かっこいい高橋一生“の姿を描けば、より多くの視聴者に支持されるのではないだろうか。

 その意味で、今回の高橋の活躍は、視聴者の期待に応えるものだったと言えるだろう。今後、高橋演じる藤堂はどんな一面を見せてくれるのか。

(渡辺彰浩)