海外のゲストハウスやユースホステルに宿泊した時、ブックシェルフがあるとわたしは足を止め、あれこれ手に取ってしまう。どこかの国から来た、誰かの“旅のお供”という役目を終えた本たちは、リュックのなかからこの棚に移されていくのだ。

それゆえ、並んでいる本は雨に濡れてシワシワだったり、コーヒーをこぼしたシミがあって、古本屋に並んでいたとしてもクレームが来そうなレベルな時もある。それも「交換場所」にあると、“あたたかみ”に感じてしまう。

どこの国で出版されたかもわからないけれど、表紙のデザインが気に入った一冊をいただいて、代わりに『アミ小さな宇宙人』をそっと手放したりもした。日本語だし、読めるひとは限られてしまうとは思うけれど、自分の愛読書が誰かの暇つぶしになったり、新しい発見を生んだり、背中を押すような未来があればいいなと思うのだ。

だれかの愛読書で埋まる
“寄り道図書館”

次の読者へのバトンを保管してくれるブックシェルフは、「ストリートライブラリー」として、最近ブルガリア・ヴァルナにオープンした。黒海沿岸の街であることから、名物である巻貝をイメージしてこの形になったのだそう。『Rapana』という、貝の名前がつけられている。

オープンした時すでに並べられていた本は、ボランティアによって集められたもの。最大で1,500冊くらいは収納できるそうで、捨てたくはないけれど、もう読まなくなった本や、誰かに譲りたい本たちを持ち寄ることで埋まっていく仕組みだ(各地から寄付された新品のものもある)。

あくまで図書館だから盗むのはだめだけど、交換してもいいよ、という寛大さが嬉しいところ。

とくに買いたい本があったわけではないけれど、ふらっと本屋さんに入ったらつい立ち読みを始めてしまって、意外と時間が経っていたことはないだろうか。「あっ、やってしまった」と思うけれど、読み入っていた時間にそこまで罪悪感はなくて、むしろ、ちょっと満たされていたりもする。

写真のように、ポカポカ陽気のなかでそんな寄り道をしてみたい。海外からの旅人と、忙しく働いている人たちが多い東京の街に、こんな図書館があったらなぁ。欲を言えば、代々木公園のように、広くて芝生のある場所がいい。そして自分のお気に入りの本を誰かのと交換したいし、誰かのために贈りたい。

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