お酒を飲んでしまったチワワ

飼い主さんがお酒を美味しそうに飲んでいます。それを見た犬は、「これはきっととても美味しいものに違いない!」犬はそう思います。ちょっとした油断から愛犬の命の危機に晒してしまった飼い主さんのお話です。

夜間救急に電話

私が夜間救急で動物看護師をしていた時のお話です。

深夜救急の電話が鳴ります。
「犬がお酒を飲んでしまったみたいで痙攣してる。」
との内容だったので、すぐに来てもらうよう伝え、1時間後夜間救急に到着しました。

1歳のチワワの男の子です。痙攣を起こし呼吸も荒く、目を見開いたままで立ち上がることが出来ません。

「お酒の種類とどれぐらいの量を何時ぐらいに飲みましたか?」

処置をしながら先生が飼い主さんに尋ねます。
すると飼い主さんは、

「2時間ぐらい前に焼酎のロックを床に置いたまま眠ってしまい、音がして目を覚ましたら犬が横で痙攣起こしていた。氷が溶けていたので量は解らない。」

と言いました。その口から漂うアルコール臭。まだ酔いがまわっているのか、ヘラヘラしながら答えていました。

急いで処置を行います。犬の口から匂うアルコール臭と飼い主さんが吐く息から漂うアルコールの匂いが診察室に充満します。お酒に弱い私はその匂いだけで酔いそうになりました。

そして、急性アルコール中毒と診断が出ました。あり得ない話ですが、犬がアルコール中毒になってしまったのです。
はっきり言って、全て飼い主さんのせいです。よくよく聞いてみると、時々欲しがったので少しだけ舐めさせたりした事があると笑っていました。

犬にお酒を与えたらどうなるか考えた事がないのかと思うと怒りが顔に出そうになりましたが、それを抑え、犬の処置に集中しました。飲んだ量も解らず、何時に飲んだのかもわかりませんが、焼酎のロックとのことでした。人でもお酒の強い人でなければ飲みません。かなり状態が悪い事から助かる可能性は五分五分でした。

頑張ったチワワ

朝方まで全く意識もなく回復する事は不可能ではないかと諦めかけていましたが、夜間救急の診療時間が終わる朝7時頃、やっと犬の意識は戻りました。

フラフラしていますが、お酒で錯乱しているのか元々の性格なのかずっとワンワン吠えていました。飼い主さんが迎えに来られた時には意識もはっきりしておりフラつきもましになっていました。

犬が若く元気だった事や、もしかしたら氷が溶けた状態で飲みアルコールが薄まっていていたのか、量が少なかったのかは解りませんが奇跡に近い回復でした。

迎えにきた飼い主さんはすっかり酔いが冷め、事の重大性にやっと気がついた様です。たまたま助かったから良かったけど、亡くなっていたらどうするつもりだったんだろう…。してしまった事を後悔しても失った命は戻ってきません。十分に反省してもらい、二度とこんな事が起こらないよう気をつけてもらいたいと思った出来事でした。

最後に

お酒を飲む事は楽しい事です。私も強くありませんが、お酒を飲むのは大好きです。楽しそうにお酒を飲む姿を見ている犬は、自分も飲んでみたいと考えると思います。

犬にとってお酒は美味しいものではありませんが、味よりも飲んでみたいという欲求から欲しがってしまいます。犬が欲しがるから少しならと思うかもしれませんが、一度味を知ってしまうとこれは飲んでもいいものと犬は認識します。

普段は手の届かないところにあるものが、目の前にあれば、犬は飲みます。人からしたら少しの量でも体重の軽い犬からしたら飲む量によってはボトル1本分を飲む事になります。そんな量を一度に飲んでしまったらどうなるかはわかると思います。私達飼い主の不注意から愛犬の命を危険にさらす事のないよう、十分に気をつけてもらいたいと思います。