韓国政府は、トランプ米大統領の訪問を控えた6日、文在寅政権として初めてとなる独自の対北朝鮮制裁措置を発表した。

韓国政府が制裁対象に追加したのは、海外で北朝鮮の銀行の代表、副代表を務め、北朝鮮の大量破壊兵器の開発資金調達に関与した人物18人だ。

その内訳を見ると、大成銀行のカン・ミン氏、キム・サンホ氏、ペ・ウォヌク氏、統一発展銀行のキム・ジョンマン氏、リ・ウンソン氏、東方銀行のムン・ギョンファン氏、一心国際銀行のパン・スナム氏、朝鮮貿易銀行のキム・ドンチョル氏らだ。これにより、韓国政府の独自制裁リストに登録されたのは97人、69機関となる。

これについて、実効性を疑問視する声が韓国国内で出ている。

いずれも国連安全保障理事会で採択された対北朝鮮制裁決議や、米財務省が9月26日に発表した制裁リストに含まれていることもあり、象徴的な発表に過ぎないとの評価だ。

また、中東に派遣された北朝鮮労働者の給与を当局に上納してきた朝鮮金剛銀行ドバイ支店代表のクァク・チョンチョル氏、ヨム・フィボン氏、中国の銀行に多数の口座を持ちペーパーカンパニーを運営してきた疑いがある朝鮮金剛銀行北京支店代表のチャ・ソンジュン氏、既に制裁対象となっている朝鮮貿易銀行の外貨取引に関与してきたハナ銀行丹東支店代表のホ・ヨンイル氏ら8人が対象から欠落しているとの指摘も上がっている。

さらに、独自制裁の発表も、かつてのように外務省、統一省などの関連部署が参加した上で国務調整室長が発表していたのとは異なり、官報に掲載するだけで済ませてしまったことで、「釈然としない」との声が上がるなど、評判は芳しくない。

朴槿恵前大統領系の保守系野党、自由韓国党は「独自制裁の内容は空箱に過ぎず、形式も薄いスープのようだ」と批判している。