動物園で飼育されているアカエリマキキツネザル(2013年7月24日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】最初期の哺乳類は夜行性動物で、昼間の世界を支配していた恐竜の絶滅後に初めて日中に活動する哺乳類が登場し、完全な昼行性に移行した最初の哺乳類は霊長類の祖先だったとする研究論文が6日、発表された。この説は、現代の哺乳類の中で日中に活動する「昼行性」の哺乳類が比較的少ない理由や、大半が夜間に活動するのに適した目や耳をいまだに持っている理由などを説明していると考えられる。

 米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に掲載された論文の共同執筆者で、イスラエル・テルアビブ大学(Tel Aviv University)のロイ・マオール(Roi Maor)氏はAFPの取材に、「現代の哺乳類の大半は夜行性で、暗闇の環境で生き延びるための適応性を持っている」と語る。

「サルと(人間を含む)霊長類は、鳥類や爬虫(はちゅう)類など他の昼行性動物と同類の目を進化させた唯一の昼行性哺乳類だ。(だが)他の昼行性哺乳類はこれほど高度な適応性を発達させていない」

 恐竜から数千万年逃れ続けたことが原因で、人間を含む哺乳類の進化に「夜行性のボトルネック効果(生物の個体数の減少に伴い、遺伝子の多様性が失われ、特定の遺伝子が集団内で広まること)」が生じたとする説は長年支持されているが、マオール氏と研究チームの論文は、この説を裏付けるものとなっている。

 古代の哺乳類は食べ物や縄張りをめぐる恐竜との競争や恐竜から捕食される危険性をおそらく回避するために長い間、暗闇に身を隠していたため、現代の哺乳類の日中の視覚は魚類、爬虫類、鳥類などに大きく劣っている。

 多くの魚類、爬虫類、鳥類の目の網膜にある中心窩(ちゅうしんか)には、明るい光の中で色を認識するための光受容器「錐体(すいたい)」細胞が高密度で存在する。一方、霊長類を除く哺乳類の網膜には中心窩がない代わりに、薄暗い状況でわずかな光を捕捉できる「桿体(かんたい)」細胞が多い。しかし、桿体細胞で得られる解像度は比較的低い。

 また、主に昼間に活動する現代の哺乳類──ある種のリス、ツパイ、アンテロープ(レイヨウ)の一部と多くの肉食性動物──には、夜間に生活するために必要な特性である嗅覚と聴覚がいまだに鋭敏な傾向がみられる。

■霊長類が他の哺乳類より昼間の生活への適応力が高い理由

 マオール氏と研究チームは現存する哺乳類2415種を対象として行動様式を分析。コンピューターアルゴリズムを使用して、進化系統をさかのぼった最初期の哺乳類に至るまでの祖先が取っていたとみられる行動パターンを再構成した。

 論文によると、最初期の哺乳類の祖先が出現したのは2億2000万〜1億6000万年前で、爬虫類の祖先から分かれて進化した。哺乳類の祖先はその頃から夜行性だったとみられるのに対し、恐竜は昼行性で、現代の爬虫類のように体を温めるために日光を必要としていた可能性が高い。

 今回の分析データは、哺乳類が中生代末まで夜行性のままだったことを示している。今から約6600万年前の中生代の終わりに小惑星衝突とみられる大規模災害が発生し、恐竜と地球上の生命の約4分の3が死滅した。

 一方、当時は大部分が小型で足の速い動物だった哺乳類は生き延び、繁栄した。大半は夜行性のままで、一部が昼行性に移行したが、それ以外にも両方の性質を少しずつ併せ持つようになった現代のネコ、ゾウ、ウシなどの哺乳類動物もいる。

 研究チームの調査によると、霊長類の祖先は完全な昼行性に移行した最初の哺乳類の一種で、移行時期は約5200万年も前だったとされる。つまり、人間を含む霊長類が哺乳類の他の種より他の昼間の生活様式により適応しているのは、進化と適応に費やす時間がより長かったことが原因として考えられる。

 夜から昼への移行が起きた理由については不明だが、初期哺乳類に対する「捕食リスクの減少」がその理由の一つだった可能性があると、マオール氏は指摘している。
【翻訳編集】AFPBB News