決勝でも高いボールポゼッションをベースにチャンスを作り出した川崎。その攻撃の質の高さは敵も認めるところだ。写真:田中研治

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[ルヴァン杯決勝]C大阪 2-0 川崎/11月4日/埼玉
 
 悲願のクラブ初タイトルを掴んだC大阪だが、開始1分の杉本健勇の先制ゴールの後は、川崎に押し込まれる展開が続いた。幾度もゴールに迫られ、ピンチを迎えながらも、なんとか凌ぎ切って、終了間際にカウンターからソウザの一発で勝負あり。C大阪が粘り強さと要所で好機をモノにする試合巧者ぶりを発揮した。
 
 しかし試合後、C大阪の選手たちからは喜びの声とともに、改めて川崎の攻撃の質の高さを認める発言が相次いだ。
 
 キャプテンの柿谷曜一朗は報道陣から「先制点の後は持たせているような展開になったが?」と問われると、「いや持たせているつもりはなかった。持たれていたんです」と明かしている。続けて「あれだけ技術の高い選手たちに共通意識を持ちながらプレーされると、なかなか僕たちのサッカーはできない」と、ゲームを支配され続けた苦しい試合内容を振り返った。
 
 また、清武弘嗣も9月30日の川崎とのアウェー戦で1-5で敗れた試合を思い返しながら、「中はやらせないようにしようと思っていましたけど……」と、攻撃力を警戒しながらも、そのクオリティの高さを次のように語る。
「やっぱりフロンターレの選手の一人ひとりの位置だとか、間を取る感覚というのは、なかなか掴みづらいところがあって。正直崩されているシーンは普通にあったんですけど、最後のシュートミスだったり、というところで少しは運があったかな」
 
 ボランチとして、決勝ではとりわけ守備での貢献が光った日本代表の山口蛍にいたっては、「きつい戦いでしたし、終始相手にボールを握られた」と、劣勢ぶりを率直な言葉で語っている。
 
 ただし、劣勢を強いられながらもC大阪もただ押し込まれていたわけではない。山口が守備面での狙いをこう語っている。
「アウェーの川崎戦では、無駄にというかみんながバラバラに前から行ってしまって、5失点していたので、そういう面で今日は行くところと行かないところの区別がしっかりできた」
 守備面では展開もうまく味方したようで、早い時間帯に先制点が取れたことによって、「慌てて前掛かりにならずしっかりブロックを作ってカウンターを狙うというサッカーに徹することができたのが良かった」(山口)とも言う。川崎のパスワークに対しても、じっくりと対処できたというわけだ。
 
 異口同音に清武も堅守速攻に専念できたという感想を漏らしている。
「相手は明らかに(自分の)左をずっと狙ってきている感じがあった。僕のサイドを押し込んで僕が出て行くパワーを減らすという狙いがあったと思う。なので、そこは割り切って、下がって守備に専念して、あとはカウンターを狙った。そこは意識してやりました」
 
 これに対して、川崎の小林悠は「キヨ(清武)がだいぶ中に絞ってきていたので、自分が(川崎右サイドの)エウソンの縦に顔を出して、そこで攻撃の起点になろうとした」と話し、川崎側は流れのなかでC大阪の守備の穴を窺っていたようだ。この攻めは何度も右サイドからの切り崩しを見せたように、一定の成果を上げたものの「僕が外に出ることによって中の枚数が少なくなってしまった」(小林)と、川崎にとっては、チャンスは作るもボックス内にフィニッシャーが足りないというジレンマもあった。
 
 結局、川崎の猛攻に対し、C大阪は最後まで粘り強く撥ね返すことに成功。清武は、チームをユン・ジョンファン監督の下「激しく戦える集団になった」と称賛する。山口も「球際で戦えていたと思うし、しっかり走れていた」と胸を張り、最前線に位置した柿谷は「ディフェンスの選手、ボランチの選手、サイドの選手が相当走ってくれた」と、後方で身体を張り、走り続けた選手たちに感謝の意を表わした。
 
 日本代表クラスの選手たちにとっても脅威に映った川崎の質の高さ。それを認め、タイトルへの強い意志で堅守速攻を貫いたC大阪が、ひとつ目の勲章を手中に収めた。