コートジボワールの「チンパンジー・アイランド」で飼育されているチンパンジーのポンソと触れ合う飼育員のジャーマイン・ジェネマヤ・コイジャさん(2017年8月18日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】コートジボワールの「チンパンジー・アイランド(Chimpanzee Island)」で飼育されているチンパンジーのポンソは、来場者たちを見ると鳴き声を上げた──。以前は20頭いたチンパンジーだが、不審死や行方不明となった個体が続出し、今はこのポンソ1頭のみとなってしまった。

 チンパンジー・アイランドは、商業中心地アビジャン(Abidjan)から約100キロにあるバンダマ(Bandaman)川河口そばのグラン・ラウ(Grand-Lahou)村に隣接するように設置された施設で、1983年に薬剤実験を行う研究所によって、リベリアからこの小さな島にチンパンジーのグループが連れてこられた。

 アフリカ西部コートジボワールのチンパンジーの個体数は、わずか20年足らずで90%減少した。そのような状況において、同施設ではポンソの健康状態を良好に保ち、長生きさせようとの努力が続けられている。

 ウェブサイト「sosponso.org」によると、2015年以降、団体「レザミ・ド・ポンソ(Les Amis de Ponso)」が餌代も負担しており、専門の飼育員ジャーマイン・ジェネマヤ・コイジャさんへの資金提供も行っている。施設近くの桟橋に掲げられた木製パネルにも同様の説明書きがあった。

 元農家で60代のコイジャさんによると、ポンソは2年前、メスのパートナーと2匹の子どもを謎の病で失い、心の傷を負ったのだという。以降「世界で最も孤独なチンパンジー」となったポンソのためにSOSを発信し続けている。

■家族の一人

 コイジャさんは毎朝、餌や薬を簡易ボートに積み、スイレンをかき分けながらチンパンジー・アイランドへと向かう。

 コイジャさんを見ると、背丈1メートルほどのポンソは鳴き声を上げながら枝から枝へと飛び移り、喜びを全身で表現する。

「私にとってポンソは子どものようなもの。彼がいなくなるのを見たくない。誰かにメスを連れてきてもらえるよう、問い合わせをしているところだ」と語るコイジャさん。自身の父親から21歳の息子ジュニアさんに至るまで、一家は代々霊長類にかかわっているのだという。

■パートナーを見つけるか保護区への移動か

 密猟や森林破壊、野生動物保護のための金銭的支援の必要性を目の当たりにしているアフリカの霊長類学者にとって、ポンソの救済は模範的な例となっている。

 アフリカ霊長類学会(African Primatological Society、APS)およびコートジボワールのスイス科学研究センター(CSRS)代表のインザ・コーン(Inza Kone)氏は、「科学的、あるいは道徳的見地から考えても、ポンソをできるだけ早く孤立状態から救わなければならない。そのためには、彼の元にパートナーを連れてくるか、彼をどこかに連れて行くかの2つの方法がある」と語った。

 しかし、過去20年の間にこの島で起きたチンパンジーの不審死や行方不明となった個体の行方などについては明確な説明が提供されておらず、専門家らはポンソのパートナーを見つけることに慎重な姿勢を崩さない。

 多くの人は、チンパンジー保護区の設置が最も実現可能な解決方法だと考えているが、ポンソを別の場所に移すことについて一部の学者らは反対の意見を表明している。この森で最後の霊長類を守ることができなかったと認めることになるからだ。彼らはあくまで、さらなる保護やパートナーの提供を強く求めているのだ。

 コーン氏は、保護区の設置で「生息環境はおのずと整う。仲間たちと接触することも可能だ」と述べる。また「ポンソは、コートジボワールに保護区を設置する取り組みの旗振り役」で「手遅れになる前に設置の努力が実るよう願わなければならない」ともコメントした。

 アフリカの霊長類学者らは、このプロジェクトに協力する用意が既に整っている。しかし、それは政治的な意思が伴って初めて実現するもので、これまでその支援を十分に得ることができていないというのが現状なのだという。
【翻訳編集】AFPBB News