高梨沙羅

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来年2月に開幕する平昌五輪で金メダルが期待されるひとりが、ノルディックスキー・ジャンプ女子の高梨沙羅だ。6日放送、テレビ朝日「報道ステーション」では、3年前に悔しい想いをした高梨が、メンタルの強化に励んできたことを伝えた。

2014年のソチ五輪では、圧倒的な金メダル候補だったにもかかわらず、4位という不本意な結果に終わった高梨。スポーツキャスター・松岡修造氏のインタビューでは、平昌五輪を「自分に勝つ絶好の機会」ととられていると明かした。“あの時の自分”に勝つ作戦を立てる時間が楽しく、「ドキドキとワクワクが半々」の気持ちという。

技術・体力の向上に加えて、高梨が取り組んできたのが、メンタルの強化だ。五輪の本番は普段の試合ではなく、何があるか分からない。それだけに、高梨は「どんなハプニングにも対応できる心の広さ、臨機応変に対応できる器」が必要と考えている。

だが、高梨は練習以外でもジャンプのことを考え、心配事を抱え込む「もともとネガティブの塊」だという。そこで取り組んできたのが瞑想だ。目をつぶり、リラックスした姿勢で30分以上、その日のトレーニング内容や課題、私生活で感じたことなどを考える。

瞑想することで、嫌なことを言う「自分B」を、なだめ役の「C」「D」が「勝てなくても死ぬわけじゃない」と落ち着かせ、「A」が考えをまとめていく。様々な角度から客観的に自分を見つめることで、五輪で起こる想定外の出来事にも対応できるように準備しているのだ。

実際、大事なシーズンで2連勝と好発進した高梨は、昨年と比べて「自分をコントロールする力、切り替えの早さがついてきた」と、課題だったメンタル面での成長に手ごたえをうかがわせている。以前よりも「物事がポジティブに考えられるようになった」と、控えめに笑みを浮かべた。

それでもまだ、自分を好きにはなれないという。だが、高梨は「好きではないけど、好きな自分になれるように頑張っていきたい」と前向きな姿勢だ。松岡氏は、ソチ五輪で失速したときの夢を見続けている高梨が、以前と違って「今の私は大丈夫」と受け入れられるようになったと明かした。

ネガティブな考えを打ち消そうとするのではなく、受け入れながら良い方向にもっていこうとしている−松岡氏はそう高梨に感心したうえで、「勝つ人は自分を信じられる。(自分を)大好きになることが大事だと思う」とアドバイスを送った。