仲間由紀恵、元・貞子の恐ろしさ 『明日の約束』の毒親役で見せた“真顔の狂気”

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 『明日の約束』(関西テレビ・フジテレビ系)で、溺愛していた息子を自殺で失う母親・吉岡真紀子を演じている仲間由紀恵。そんな彼女が第1話で見せた息子への過干渉ぶりは、不登校になった息子の外出を制限するほか、携帯を取り上げ、自分の把握できる範囲内での行動しか許さないほど。それは息子を守りたい一心でのことではあるが、世間一般から見たら立派な毒母だ。それを静かな微笑みを浮かべながら演じる仲間の演技が、真紀子の秘めたる狂気を浮かび上がらせ、息子がバスケ部の先輩のLINEにメッセージを返す際に、息子の肩に手を置いて監視していたシーンなどは、ホラーさながらの怖さだった。

参考:井上真央はなぜ毒親から離れられないのか? 『明日の約束』の歪んだ親子関係

 仲間の女優としての代表作で思い出されるのは、かつては『TRICK』シリーズや『ごくせん』シリーズといったコメディ色の強いものが多かったが、2011年に放送された『美しき隣人』(関西テレビ・フジテレビ系)では悪女に挑戦している。このとき仲間が演じたのは、檀れい扮する隣家の主婦の人間関係を壊していく謎の美女だった。そして、その2年後に放送された『サキ』(関西テレビ・フジテレビ系)でも男たちを破滅させていく悪女を演じており、『美しき隣人』と『サキ』は同じスタッフによるシリーズものとも言えるが、こちらでも『明日の約束』の真紀子に通じる静かな狂気を表現していた。というよりも、芝居としては、真紀子の原点はこの2作で演じた悪女にあるのかもしれない。

 そもそも仲間といえば、誰もが認める正統派女優だ。その整った顔立ちは、ある意味、人間味を感じさせないところもあり、『明日の約束』などでの感情を抑えた演技を見ると、そのビジュアルを最大限に生かしているように思える。仲間の真顔がいかに怖いか、まざまざと見せつけられた視聴者も多いだろう。思えば仲間は、『リング0 バースデー』(2001年)で貞子役を演じていた。“怖い女”を演じるのは、仲間の原点であり、真骨頂でもあるのではないだろうか。

 第3話では近づいてきたマスコミを利用して学校側を糾弾し始めた真紀子。第4話でも追及の手を緩めるどころか、一向に謝罪する様子を見せない学校側に業を煮やし、「鎌倉からイジメを根絶する会」に相談を持ち掛けるなど動き出していく。ここだけ観れば、息子が自殺した原因を知りたいと願う親として当然の行動に思えるが、第1話での狂気じみた言動があったからこそ、真紀子が今後どうなっていくのか、そして日向(井上真央)をどう追い込んでいくのか、想像できない展開が待ち受けていそうで楽しみだ。(馬場英美)