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 走り(はしり)は季節の始まり、最初に味わう楽しみがあります。旬(しゅん)は食べごろ、その季節一番の味。そして名残(なごり)では惜しみつつ味わう、来年を楽しみに待つ気持ちをつくってくれます。

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●旬、名残の認識不足からのトラブル

 あるスーパーマーケットでは鮮度維持を目的にパートさんに鮮度パトロールを願いしています。お客さまの立場になって売場を回り、自分が買わないと思う鮮度劣化商品を売場から撤去する仕事です。

 日配担当のパートさんが農産部門の鮮度パトロール時に鮮度劣化したサトイモを発見し、すべてのサトイモを売場から撤去してしまいました。その行為を巡って、農産部門のパートさんと言い合いになってしまったのです。

 日配担当のパートさん「こんなに大きさが不揃いで、色味の悪いサトイモなんて、誰も買わないわよ!」、農産部門のパートさん「何言ってるのよ、この時期のサトイモは皆こんなものよ、もう旬は終わっているの!」仲裁に入った店長は困り果ててしまいました。

 日配担当のパートさんはお客さまの立場で鮮度劣化を指摘し、農産部門のパートさんは仕入れる立場でサトイモの名残を主張したのです。どちらも筋が通っており、店長はどうしてよいかが分からなくなってしまったのです。 

●お客さまへ素直に正しい情報提供することが一番

 こんな時どうすればよいか?どちらの主張も正しい。問題はサトイモの走り/旬/名残の正しい情報が売場になかったことなのです。そこで、素直にサトイモの走り/旬/名残の情報を売場で提供することにしました。

 『大きさは不揃いですが、サトイモの名残味は楽しめます。今年の最後のサトイモをお楽しみください。』というPOPを付け、名残のサトイモを販売しました。お客さまの反応も上々で、「サトイモの名残なんて知らなかった、説明されないと鮮度の悪いサトイモだなと思ってしまうところだった」の声を頂きました。

 それ以来、このスーパーマーケットでは農産物の走り/旬/特に名残の情報を売場で提供しています。思いの他、お客さまから好評価を頂いています。

 皆さんは名残という言葉をご存知でしたか?日本の風流を感じる言葉ですね。どうしても売場の商品を厳しい目で見がちです。名残も感じて売場の農産物を見たいものです。