先制点で流れを引き寄せたウェリントン(中央)。本人にとっても会心のゴールだった。写真:田中研治

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[J2リーグ40節]福岡 2-1 湘南/11月5日/レベスタ

「本当に何があるか分からない。過去も優位だと言われているチームはいくつもあったが、そこが昇格したとは限らない。とにかく今は、内容よりも結果が大事。この3試合は全員が倒れるまで走らないと勝てない相手。最後の最後まで気を抜かない、最後まで点を取りに行くという姿勢を出していかないといけない」
 
 40節の湘南戦を前に、三門雄大はチーム全員の気持ちを代弁した。3試合を残して4位の福岡にとって、勝利以外の結果は限りなく自動昇格の可能性が遠のくことを意味する。勝つ以外に生き残る手段は残されていなかった。
 
 ウェリントンもまた、湘南戦を特別な想いで迎えていた。38節の千葉戦で2本のPKを外して敗戦。しかも、試合終了間際には2枚目の警告を受けて退場処分が課せられた。そして翌東京V戦で、ウェリントンを欠く福岡はスコアレスドローに終わって4位に後退。自力で2位以内を確保する道が消えた。
 
「大事な終盤の試合で起こってしまったことに下を向きそうになった。でもサポーターのみなさんから信じられないほど多くのメッセージをいただき、新たにやってやるぞという気持ちになれた。サポーターのみなさんのメッセージに対し、今度は自分がプレーで返さなければいけない」
 
 そして迎えた湘南戦。運動量、切り替えの早さ、そして局面のバトルをストロングポイントにする湘南に対して、それを上回る気迫で前へ出た。先制点はウェリントン。彼の想いの強さがゴールを生んだ。
 
 だが、湘南は強敵。一時は同点に追いつかれた。それでも福岡は下を向かない。そして66分。石津のゴールが生まれる。
 
「自分たちは追い込まれている状態で勝つしかなかったし、これだけ多くの観客のみなさんに入ってもらったなかでの負けは許されなかったので『なんとかチャンスが来い』と思いながらプレーしていた。本当に無我夢中に足を伸ばして打った」
 
 石津の想いと、サポーターの想いが乗ったボールがゴールネットを揺らす。そして福岡は勝利を掴んだ。
 
 この日の結果により、自動昇格争いは長崎、名古屋、福岡の3クラブに絞られた。「ここで敗れたら積み重ねてきたものが無駄になる。残るふたつに全部勝つ」とは松田力。ギリギリのところで自分たちの戦いを取り戻した福岡は、4位からの逆転昇格を目指して次節・松本戦に臨む。
 
取材・文:中倉一志(フリーランス)