長崎の指揮を執る高木監督。就任5シーズン目にしてJ1昇格を果たせるか。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J2リーグ40節]水戸 0-2 長崎/11月5日/Ksスタ
 
 試合後の会見で長崎・高木琢也監督は「リスクマネジメントがテーマだった。そこでほぼやられることはなかった」と語り、一方の水戸・西ヶ谷隆之監督が「ゲームをコントロールされてしまった」と語ったように、長崎の勝因は高木監督のゲームマネジメントがすべてだった。自動昇格圏内の2位に位置するチームのその理由を如実に見せつけられた試合となった。

 
 まず、試合前のコイントスで勝った長崎の主将・増田卓也は、迷わずピッチを指差し、エンド交換を選ぶ。晩秋の午後の西日が、Ksスタの試合後半に陰ることを理解した判断でもあった。実際、後半西日に正対することになったホーム水戸の選手らは眩しげにプレーする様が窺えた。試合に入ると水戸はホームのアドバンテージを生かし長崎に立ち向かうが、激しくアグレッシブなボディコンタクトがことごとくファウルとジャッジされ、そこを見逃さなかった長崎がリスタートで優位に立っていく。
 
 一方の水戸も長崎に流れを奪われまいと、より激しさを増していくが、厳しい球際の攻防で逆に水戸はミスを連発し、流れはさらに長崎に傾く。GK笠原昴史の軽率なミスやDF細川淳矢のパスミスから危ない場面を招きながらも水戸はぎりぎりのところで踏ん張るが、長崎は前半終了間際にシュートの跳ね返りを飯尾竜太朗が押し込んで待望の先制ゴール奪う。
 
 1点のビハインドを負った水戸は後半からフォーメーションを3バックに変更し、ミラーゲームの様相を呈していくが、そこでも長崎がしたたかさを発揮。「相手をゆさぶる動きで優位に立つ(高木監督)」先手の対応は常に長崎の方で、対して水戸は後手の対応を余儀なくされた。
 
 事実、水戸は布陣変更で一列前に出たDF田向泰輝は位置取りが悪く間延びしてしまい、ボールをつなげられないという機能不全に陥ってしまうが、そこでも長崎はすぐさま機敏な対応で田向のサイドを突くシステムに変更。適切なリスクマネジメントとともに、敵のウィークポイントを的確に突いていくという面でも、水戸のそれを上回る試合巧者ぶりだった。
 意地でもホームで負けられない水戸は、その後も前がかりになって攻めるが、集中の途切れない長崎のゴールをこじ開けるには至らない。次第に水戸は焦りの色が見え始め、交代で入った目下売出し中のFW伊藤涼太郎らは冷静さを欠いて猪突猛進、バランスを欠いてしまう。
 
 一方の長崎は逆に交代カードでも采配が当たり、中盤の碓井鉄平は無心に任務を全うし、中村慶太に至っては試合終了間際、カウンターから水戸を突き放す追加点を奪ってみせた。長崎は手繰り寄せた流れを終始水戸に渡すことなく、試合はそのまま2-0で長崎の完勝で終わった。
 
 これで長崎は11戦負けなし。残り2節、選手たちは自信に満ちており、その表情からもこの勢いを維持できるであろうと窺える。怖いのは慢心だが、今はその欠片すらも見えない。長崎はまた一歩、J1昇格という夢の実現に近づいたのは間違いない。

取材・文:根本靖幸(フリーライター)