温かくて快適な電気カーペット。 でも、そのまま眠らないで!

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執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


近頃は日増しに寒くなり、暖房器具が活躍する季節ですね。

そんな暖房器具のひとつに、電気カーペット(ホットカーペット)があります。

すぐに温かくなり、手軽に使える器具ですが、使用方法を誤ると思わぬトラブルを招くことがあります。

今回は、そんな電気カーペットによって起こりうる健康トラブルや、使用時の注意点についてご紹介したいと思います。

電気カーペットのしくみ

電気カーペットは、カーペットの中にコードヒーター(線状のヒーター)や温度センサーなどが内蔵されています。

コードヒーターは発熱して温める役割を、温度センサーは温度が熱くなり過ぎないように調節する役割を担っています。

この温度センサーには、「サーモスタット式」と「感熱線式」という2つのタイプがあります。

サーモスタット式は、「サーモスタット」と呼ばれる機器がカーペットの中に設置されているタイプで、サーモスタット周辺の温度を感知して、温度調節を行っています。

一方、感熱線式は、コードヒーターの中に温度を感知する検知線が内蔵されており、コードヒーターがある部分であればどこでも温度を検知して調節することができます。

そのため、感熱線式の方が温度調節の機能性が高く、快適な温度を保つことができます。

ただしその分、価格も高いといわれています。

電気カーペットによるリスク

国民生活センターは、2004年に電気カーペットの使用により発生したトラブルや対策をまとめ、注意喚起をしています。

その中で、次のような被害報告が発表されています。

低温やけど

低温やけどは、体温よりもやや高い温度のものに長時間接触することで生じる、やけどです。

皮膚の赤みや水ぶくれなど、一見軽症に見えても、皮膚の深部まで損傷しているケースもありますし、皮膚の移植や患部の切除にまでおよぶ深刻なケースもあります。

本報告では、これまでの実験で、接触部分の温度が44℃である場合、およそ6時間で低温やけどが起こるとのことです。

さらに国民生活センターが5つの銘柄を対象に実施したテスト検査では、全銘柄とも表面温度は42℃以上で、中には45℃を超える銘柄もありました。

これらを踏まえると、とくに夜間、電気カーペットの上で就寝するのは、低温やけどのリスクがかなり高くなるといえます。

熱中症

電気カーペットの出番は秋や冬ですから、熱中症の被害報告とは意外に感じられる方も多いでしょう。

熱中症は、体温調節がうまく機能しなくなることで、めまいや疲労感、けいれんなどが現われる症状です。

たとえば、電気カーペットの上に布団を敷いて眠っていると、徐々に布団内の温度や湿度は上昇します。

国民生活センターのテスト検査では、背中の下の温度は38.2〜39.0℃、湿度は70.9〜90.4%にまで高くなり、最終的には体温が40℃以上になる可能性もある、ということがわかりました。

つまり、このような状況下で眠りにつくと、とくに健康な成人に比べて脱水症状になりやすい乳幼児や高齢者については、熱中症のリスクはかなり高いといえるのです。

電磁波の影響について

インターネット上では、電気カーペットの電磁波が身体におよぼす影響について、心配する声をしばしば見かけます。

しかしながら、現時点で明確なことは分かっておらず、公的機関からも人体に対する影響は報告されていません。

ただし、このような声を受け、現在は電磁波をカットした電気カーペットも販売されています。

過度な心配はかえってストレスですから、電磁波が心配で電気カーペットをためらっている方は、電磁波がカットされた製品を検討してみると良いでしょう。

電気カーペットを使用するときの注意点

国民生活センターでは、これまでの被害報告やテスト検査の結果を受け、使用上の注意点をまとめていますので、改めて確認しておきましょう。

身体の同一部位を長時間触れさせない

前述のとおり、低温やけどは、身体の同一部位を体温よりやや高い温度のものに長時間接触することで起こります。

ですから、こまめに体勢を変えるなどしましょう。

とくに、糖尿病を患っていて神経障害が出ている方は、温度に対して鈍感になっており、低温やけどになりやすい状態です。

じゅうぶんに注意してください。

就寝時には使用しない

就寝時の使用は、低温やけどや熱中症のリスクを高めます。

そもそも就寝時使用は、各銘柄ともに禁止

しています。

取扱説明書を読み、決められた使用方法以外では使わないようにしましょう。

周囲の人も注意する

とくに小さなお子さんや高齢者のいるご家庭では、長時間同じ姿勢で使用させない、就寝時は電源を切るなど、周囲の人も注意を払うようにしましょう。

身近で手軽な暖房器具、正しく上手に使いながら、寒い季節を乗り切りましょう。


【参考】
・涌井良幸、涌井貞美『家電が一番わかる(しくみ図解)』(2013年 技術評論社)
・国民生活センター「暖房器具の安全な使い方」(http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20041105_1.pdf)
・国民生活センター「電気座布団の安全性」(http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20081217_2.pdf)


<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供