The Idol Formerly Known As LADYBABY、運命的に出会った2人が放つ“ブラックホールの引力”

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 The Idol Formerly Known As LADYBABY(以下、LADYBABY)。金子理江と黒宮れい、類い稀なる美少女二人が運命的に出会い結成されたアイドルは、二人がただ存在するだけでドラマが生み出され、その息もつかせぬストーリーに私たちは飲み込まれてしまいます。この世界には、ふたりだけ。

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 10月28日に開催された、恵比寿リキッドルームでのワンマンライブ『THE BATTLE OF TOKYO』。黒宮れいが黒、金子理江が白。ネイルの色に秘められた陰陽からは、LADYBABYの中に相反する二つの要素が混在していることに気づかされます。可愛さと毒、聖と俗、反抗と憧れ、札束と花弁……。どちらかが欠けてしまったら、表すことのできない世界。絶対的な二人。

 子供にもわかりやすく真似しやすい可愛らしい振付があるかと思えば、妖艶さのスイッチが入り見てはいけないものを見てしまったような気持ちになるダンスも。りえが細く白い腰を波打たせて踊る躍動感、れいのどんなに遠くへも届き矢のように射抜いてくる目力。そこには一度しかない生の瞬間が刻みつけられています。

 「世界のルールを破壊する」という偶像を演じる二人からは、人間らしさ、生々しさを表現することへの渇望が常に感じられます。「過激な発言」「破天荒な行動」ですらコンセプトとして組み込まれてしまい、イメージを押し付けられることへの反抗。それが剥き出しに表れているのは、二人の歌声と、二人の作品(ライブ会場でしか売らない、れいりえセルフプロデュースのZINE)です。

 ライブ中盤、アゲアゲの曲から一転して「SCHOOL OF HARD KNOCKS」「Generation Hard Knocks」へテンポを落とした流れでは、アイドルらしい振り付けから解放され、生バンドのゴリゴリのエモーショナルな爆音と彼女たちの歌声が調和していきます。そして二人をデビュー当時から愛するミュージシャン大森靖子提供の「LADY BABY BLUE」。<殺されては美しく成ってきたわ>。Hard Knocks=何が私たちを傷つけるのか。その言葉、その声は、十代の焦燥感と鬱屈した夜の空気。他者が書いた歌詞であっても、彼女たち自身の言葉として胸に刺さり、10代の危うさ、傷つきやすさ、「死にたさ」を私の胸に蘇らせます。

 美しさ、スタイルの良さ、ファッションセンス、歌声、人が欲する全てを持っているように見えるれいとりえが、二人揃った時にだけ出現するブラックホール。全ての女の子に空いた穴、生まれながらに持ってしまった欠落感をお互いが貪り合う感覚は、「女の子ふたり」にしか生み出せない引力。入り口は二人の可愛らしさやファッションであっても、沢山の女性ファンを惹きつけているのはそのブラックホールの引力ではないでしょうか。

 「病みカワイイ」といった表層的な言葉で消費されてしまいたくない、誰にも理解されなくても、あの子だけはわかってくれる。一緒に教室を抜け出して、手をつないで真夏の夜を駆け抜ける感覚。性的欲求ともただの友情とも違う、女の子同士だけに通じるテレパシー。この世界には、ふたりだけ。(松村早希子)