アマダHDなどは会場で新技術や、パートナーを発掘しようとする思惑も

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 IoT(モノのインターネット)の普及が本格化してきた。電機・ITの枠を超えた異業種連携はサービス業や、工作機械などの生産設備メーカーに拡大。“つながる”ことで新たな価値を獲得した製品やサービスの提案が活発化している。また機器を支える電子デバイスも進化を続ける。3日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕したエレクトロニクス展示会「CEATEC(シーテック)ジャパン2017」でも各社がIoT展示を競っている。

 シーテック最大の目玉は特別コーナーの「IoTタウン」だ。住宅設備、金融、旅行など多様な業界から参加した。そして同コーナーを貫く“IoTストリート”を抜けるとファナック、アマダホールディングス(HD)のブースが見えてくる。さらに両社に加え、ジェイテクトも初出展した。

 「なぜ有力な工作機械メーカーがシーテックに?」という疑問が生じる。既存の顧客に製品を提案するという意図はもちろんだが、会場で新技術や、新しいパートナーを発掘しようとする狙いが見え隠れする。

 IoTでは機器と、その上に実装するサービスを含めた総合力が試される。企業や社会の課題を解決したり、生活者の幅広いニーズに応えられる魅力的なサービスを実現したりするには企業単独では限界があり、他社との連携が欠かせない。

 それは製造現場でも同じだ。「IoTは当社だけでは困難。各領域ごとにパートナーと組むのが有効」と、アマダHDの磯部任社長は指摘する。同社は顧客の工場とサービス部門をつなぐ接続機器で富士通と協力し、クラウドや人工知能(AI)で米セールスフォース・ドットコムと手を組んだ。

 工場用IoT基盤「フィールド・システム」の提供を2日に始めたファナックや、三菱電機も電機・ITメーカーとの提携戦略を進めている。

 「米アマゾンのAIスピーカーってどうなの?」。ジェイテクトの井坂雅一副社長は、AIを使って音声認識するAIスピーカーの存在が気になる様子。将来、工作機械の入力装置に活用できるものではないか、と思いをめぐらす。

 会場には工作機械の見本市では見られないような、異業種の思わぬ技術が眠っているかもしれない。中小企業の事業者が導入しやすいIoTを目指す同社にとって「もっと簡単に機械加工できる」(井坂副社長)新技術は必須だ。

 電機メーカーも産業用IoT基盤サービスを訴求している。パナソニックは同基盤サービス「ミュー(μ)ソケッツ」を展示する。アプリケーション(応用ソフト)やネットワーク、各種端末を統合。それらを組み合わせ、工場・倉庫の自動化などのソリューションに仕上げて提供する。クラウド上の基本ソフト(OS)などでは外部と連携する。末次圭介オープンイノベーション担当主幹は「自社のハードをさらに強くできる仕組みがμソケッツ」と力を込める。

 会場を訪れたアマダ(神奈川県伊勢原市)の柴田耕太郎社長は「今、異業種と呼んでいる業界との垣根が外れ、そのうち異業種でなくなるかもしれない」と話す。IoTを軸に電機、IT、機械、その他の産業を巻き込んだ大連合の結成が間近に迫っているのかもしれない。