ベルギーリーグで大旋風を巻き起こしている森岡亮太が3年ぶりの日本代表復帰【写真:Getty Images】

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ベルギーで得点力爆発。森岡亮太が3年ぶりの日本代表に合流

 今季からベルギー1部のワースラント・ベフェレンに所属する森岡亮太は、自らの結果で3年ぶりの日本代表招集を掴み取った。すにリーグ戦で7ゴール7アシストを記録し、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も見逃せない存在になった。3年前に力の差を見せつけられたブラジルと再び相見え、ヨーロッパでの成長を証明できるだろうか。(取材・文:元川悦子【リール】)

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 2018年ロシアW杯の前哨戦とも位置づけられる11月のブラジル(10日=リール)、ベルギー(14日=ブルージュ)とのテストマッチ。その重要な2連戦に向け、日本代表が5日からリールで始動した。

 普段は国内組だけでトレーニングを開始し、徐々に欧州組が合流するのが代表活動のパターンだが、今回の初日参加者は、長谷部誠(フランクフルト)、吉田麻也(サウサンプトン)、酒井高徳(ハンブルガーSV)、森岡亮太(ワースラント・ベフェレン)、久保裕也(ヘント)の欧州組5人。彼らはヴァイッド・ハリルホジッチ監督らスタッフとともにランニングなどの軽いメニューを1時間程度消化した。

 ハビエル・アギーレ監督時代の2014年11月以来、3年ぶりに合流した森岡は現代表のウォーミングアップメニューに不慣れなせいか、やや戸惑いがちではあったが、前日のロイヤル・エクセル・ムスクロン戦で今季3つ目となるヘディング弾を決めた自信と手ごたえも時折垣間見せていた。

「ヘッドは苦手」と言う彼が続けざまにその形から点を取っているのは紛れもなく成長の証。今季7ゴール7アシストというのも文句なしの欧州組トップ。「プレミアで4点(を取っている岡崎慎司=レスター)の方が半端ないですから」と本人は謙遜したが、この数字にボスニア人指揮官が心を動かされたのは確かだろう。「そこ(得点)は自分の中でも大事だと思いますし、できるだけ多くいい形を作れるようにしたいなと思います」と森岡も力を込めた。

 彼が今回の2連戦で起用されるなら、ベフェレンと同じ4-2-3-1のトップ下か、ハリルホジッチ監督が3月のUAE戦(アルアイン)や8月のオーストラリア戦(埼玉)で採用した4-1-2-3のインサイドハーフのいずれかが有力視される。

「トップ下は練習をやって(役割を)感じながら、自分の形を出せればと。インサイドハーフの場合はそういう形をあんまりやっていないんで、コミュニケーションを取りながらやる必要があるのかなと思います」と本人は慎重な姿勢を貫いたが、いずれのポジションも短期間で理解・実践しなければ、ロシアへの生き残りは果たせない。彼に課せられるハードルは非常に高いのだ。

課題はハードな守備。乗り越えなければロシアへの道は…

 トップ下であれば、ベフェレンでやっているポジションだけに入りやすい。同じベルギー1部でプレーする久保も「亮太くんがいればすごくいいパスが来ると思いますし、いい動き出しをすれば見てもらえるんで、チャンスが作れる可能性が高い」と前向きなイメージを抱いていた。

 お膳立てができ、ラストパスが出せて、多彩なパターンで点の取れる身長180cmの大型MFというのは、香川真司(ドルトムント)や清武弘嗣(C大阪)とは明らかにタイプが異なる。そのフィジカル面の優位性を生かすことも、森岡に求められる重要テーマかもしれない。

 ただ、ベフェレンと代表では攻守のバランスが大きく変化する可能性も少なくない。クラブではフィニッシャーとしてのタスクが大きいため、下がってボールを受ける回数を極力減らして高い位置をキープしているが、代表では動き方が微妙に違ってくるだろう。特に今回の相手は世界トップの2ヶ国。トップ下であろうとも、守備の負担は大幅に増えるはずだ。

 中盤の統率役である長谷部も「こういう強豪相手にこそ、守備的にはなりたくない。ボールホルダーに対して迫力を持ったプレッシャーをかけて、チームがアクティブに連動する守備をしていきたい」と意欲を燃やしていた。

 森岡が守備の担い手の1人になろうと思うなら、普段以上に走り回ってプレスに行き、激しいデュエルを見せなければならない。「僕の課題はオフ・ザ・ボールの部分」と本人も高い意識を持っている。今回、長年のハードルを乗り越えるきっかけを手にできれば、ロシアへの道は開けてくる。

 4-1-2-3のインサイドハーフであれば、守備面の負担はより一層増えてくる。狙われやすいアンカー脇のスペースを埋めるため、中盤でのアップダウンは当然のごとく求められる。長い距離を移動して初めてゴール前に顔を出すことが可能になるのだ。

 森岡はそういったダイナモタイプではなく、この役割はハードルが高いが、周囲と連携しながら臨機応変にバランスや距離感を修正していけば、解決策は見出せるのではないか。

経験不足でも…競争を喚起する重要な存在に

 懸念材料があるとすれば、同じ中盤の山口蛍(C大阪)や井手口陽介(G大阪)らとのプレー経験が皆無に近いこと。コンビネーションの構築も容易ではないが、ポーランド、ベルギーを経て、自ら周囲にアクションを起こしていく力は身に着けた。

 それを最大限に駆使して初めて、国際Aマッチ2試合出場という日本代表での経験不足を補える。「外人相手だと気を遣わずに遠慮なく要求できる」というスタンスを、日本代表でも貫いて、山積する課題を越えていってもらいたい。

「メディアの方々は香川真司が外れて、彼ら(森岡や長澤和輝=浦和)が入ったってことで注目するだろうし、本人たちもW杯に行くために限られたチャンスを生かさなければいけないと感じると思う。そこで力を出せるかどうかが一番大事であって、一番難しいところ。レベルが高くなればなるほど競争が激しくなるけど、毎試合ラストチャンスだと思ってやるしかない」と吉田は期待を込めて森岡らに奮起を促した。

 守備のリーダーが言うように、国際舞台で実績のない彼らが最終的に香川らとの競争に勝つには、今回のようなビッグチャンスをモノにすることが先決だ。それは森岡自身が誰よりもよく分かっていること。

 0-4で惨敗したアギーレ監督時代のブラジル戦(シンガポール)に先発出場し、凄まじい実力差に打ちのめされ、日の丸から遠ざかった苦い経験を晴らすべき場が次のブラジル戦になれば理想的。紆余曲折の3年間を糧に、攻守両面で泥臭く貪欲に戦う森岡亮太の姿をぜひとも人々の目に焼きつけてほしい。

(取材・文:元川悦子【リール】)

text by 元川悦子