東京都は自治体としては初めてグリーンボンドを発行した。

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 環境問題の解決に対応することに絞り込んだ資金調達用債券(グリーンボンド)の発行が、日本でも本格化の兆しを見せ始めてきた。

 データはいささか古いが環境省の発表によると、2014年末時点の世界のグリーンボンド発行額は約209兆円。対して日本の発行高は約2,100億円水準にとどまっている。環境省の試算では2035年には「低炭素事業への投資ニーズは、米・中・欧・日本で249兆円」が予想されている。日本の同債券に対する(認識・実行)の出遅れが目立つ。事情通の言葉を借りれば「グリーンボンドの発行額は、その国の環境に対する優しさの尺度にもなる」。

 日本ではこれまでグリーンボンドの発行は政策投資銀行の「国際政策」を意図した発行や、メガバンク・大手生保の「超低金利下での資産運用」が主だった。そうした中で今後を占う動きがここにきて浮上してきた。

 一つは、東京都が10月31日付けで機関投資家向けに「東京グリーンボンド」を100億円発行した。12月には個人向け債の発行が計画されている。自治体の発行はこれが初。他の自治体にも「検討」を呼びかけたい。

 そしていま一つは、民間企業による発行である。ゼネコン業界の準大手、戸田建設が1日、「新たな洋上風力発電施設の建設資金を賄うため、12月にグリーンボンドを発行する」ことを明らかにした。調達資金は全てを長崎県五島市の沖合に建設する、海面に浮くタイプの洋上風力発電施設に充当するという。調達額は100億円予定。償還期間は5年後の12月。第2・第3の戸田建設よ、出でよ!が実感である。

 そして戸田建設の今回の発表で山嵜俊博執行役員の発言を知り、こんなメリットがあることを他の企業も考慮しても良いのではないかと考えた。

 「これまで社債市場で当社のボンドに興味を持つ人はあまり多くなかった。だが今回の一件を機に当社の社債に新たな投資家が増えてくれれば」

 グリーンボンドの発行を行う企業が増えれば、社債市場の活性化にもつながる。