男性にはなかなか理解できないその胸の内とは?(写真:Fast&Slow / PIXTA)

「女性の活躍」というスローガンのもと、以前にまして職場に女性社員も増えてきました。優秀な女性社員も多い中、一方で男性からは「仕事がスムーズに進まない」「かみ合わない」「指示が通らない」など、多くの悩みも聞こえてきます。
男性・女性という差は少なくなってはいますが、まだまだその根本には、男女の基本的な考え方の違いがあるようです。女性社員が何げなくしてしまう、男性社員を困惑させてしまう言葉や行動とは。『女子の働き方』の著者、永田潤子氏が対応法を解説します。

男性と女性の受け止め方の違い

女性が何げなく放った一言で、場の空気が凍った――みなさんも、こんな経験はありませんか。しかも、当の本人は悪びれるところもなく、逆に得意げな顔すらしている、男性からすれば理解できない状況だと思います。

私は女性で初めて海上保安大学校を卒業し、海上保安庁時代は、巡視艇の船長として男性上司と男性部下に囲まれた中間管理職、もしくは男性の部下を持つ上司としても仕事をしていました。

その中で男性と女性の受け止め方の違いを感じました。私にも場を凍らせてしまった経験があります。最近では、女性の部下をもつ男性から、「女性たちが何げなく言った言葉に、相手の顔がひきつっている」という相談を受けることもあります。

それはたとえば、次のようなケースです。

●部内でいちばん力のある上司に対して、「部長、それはこの間おっしゃっていたことと違いますよね?」など、正面からストレートに指摘をする

●前の仕事で割をくった社員に、今回は華を持たせようとする配慮に対して、「私のほうが、実績が上です。私にやらせてください」と、憮然としながら、しっかりと自己主張する

●得意先に対して、「その条件は、絶対にのめません」と、前後の脈絡を考えずに断定してしまう

●時間も工数も費やして、ようやく着地点が見えてきた交渉について、「ここはもっと、こうしたほうがいいと思うんです!」と、明確な理由を説明することなく、今さらながらこだわる

●何げない行動に対して、「○○君は、もっとこうしたほうがいいんじゃない?」と、聞いてもいないのにアドバイスをしてくる

女性社員は「それがよいことだ」と思って振る舞っているだけに、男性社員としては対応に困る、というのが本音ではないでしょうか。一方、女性としては、「つい言っちゃう」「もしかしてやっているかも」という心当たりがあるのでは?

なぜ、このように「空気を読めない」言動をしてしまうのか、ポイントは3つあります。

(1)「女性は感情的」は本当か?

多くの方は、男性よりも女性のほうが感情的だと思っています。しかし、職場においてはそれは勘違いです。実は「効率」「成果」「事実」を優先するのは女性のほうで、男性は「上下関係」「相手のメンツ」「秩序」も含めて考えます。

「あいつは付き合いがいい」といった言葉を男性は口にしますが、女性はあまり使いません。「付き合いがいいかどうかではなく、成果が大事だ」と思っているのです。

女性の考え方のほうが良いようにも思えますが、摩擦を避けたい場合や、本質的な課題を解決する時間がないときなどに合理的なのは、男性の進め方である、というケースも多いでしょう。

女性は「正論を言うのが正しい」と思っているので、譲歩したり意見を引っ込めたりはなかなかしないものです。そういう場合は無理に説得しようとしないことです。

「自分も、あなたの指摘のようにできれば理想だと思っている」と女性の意見への共感から入ることが大事です。そのうえで、その提案どおりできない状況や理由を説明し、自分の意見への理解を求めるのです。

そうすれば、女性も同じ立ち位置で考えることができるので、同意が得られやすくなります。さらに、「できるだけよい状態にするにはどうしたらいいと思う?」と投げかければ、思わぬ改善策やサポートになる案を出してくれることも期待できます。

男性に見えていないポイントが女性には見えている

(2)「見ている視点が違う」ことに気づいていない

女性のほうが「効率」「成果」「事実」を優先する、と書きましたが、一方で女性には、「男性から見ればささいなことを大事にする」ことがあります。

たとえば、評判のラーメン屋さんに行った際、男性はラーメンの味に満足すればOKですが、女性は、「おいしかったけれどトイレが汚かった」とラーメンの味とは関係ないところに注目することがあります。

全体を見る、マイナス面にも目が行くのは女性のほうなのです。しかし、これが仕事上のことになると、場合によっては本筋から話が逸れ、スムーズに進まないことにイライラすることもあるのではないでしょうか。

このとき、多くの女性は「見ている視点が違う」ことに気づいていません。逆に、「どうしてわかってくれないの!?」という思いすら抱え、論点がズレていることに気がついてはいないのです。

そういうときは、「ポイントにすべきことを確認すること」をオススメします。そうすれば、前述のように「事実」「成果」にこだわる女性ですから、その要求に応えて意見をまとめてくれるはず。議論すべきポイントが共有できていますから、仕事がスムーズに進み始めるはずです。

また、男性に見えていないポイントが女性には見えているので、今回は必要なかったこだわりも意見として聞いておくことは、どこかで役に立つはずです。

あなたを見てくれている証拠

(3)余計なおせっかいを焼いてくる

「○○したほうがいいよ」

「〜すべき」

というアドバイスを、女性はよかれと思ってしています。女性より男性のほうが、指示口調や決めつけを苦手に思っていることが多いのですが、女性自身はあまりそのことに気づいていないのです。


そんなときは、まずは「アドバイス、ありがとう」と感謝の言葉を伝えましょう。おせっかいとはいえ、あなたを見てくれている証拠なのですから。ムッとしておせっかいの内容について反論したり、「結構です」と切り返すよりも、「ありがとう。参考に考えます」と、おせっかいの奥にある思いに感謝を伝えるほうがスムーズです。そんなやり取りができれば、仕事で困ったときにおせっかいではなく助けてくれるサポーターに変わるかもしれませんよ。

男女では考え方の傾向や視点が違うため、職場でのすれ違いはやむをえず起こってしまうもの。しかし、「どうしてすれ違うのか」がお互いにわかれば、よりスムーズに仕事を進めることができるはず。

最近では、男性女性にかかわらず、新入社員に同じようなケースを見ることも増えてきました。男女の差から生まれる目線や考え方の違い、会社に染まっていない新入社員だから見えていることもあるでしょう。そのことをストレスに感じるよりも、相手を理解し、その違いをよりよい結果につなげる対処を考えるほうが得策です。