ほろ酔い気分はまことに気持ちの良いものですが、思わず飲みすぎるとあとで大変。このほろ酔い気分はどこから来るものなのか、と調べてみると、深いところで脳科学に結びついていることが分かってきました。今回は酔いのメカニズムと、トマトのアルコール分解効果をご紹介します

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ほろ酔い気分はまことに気持ちの良いものです。ただ大勢の皆さんが、思わず飲みすぎて、色々な”やっかいごと”を経験されていることでしょう。

このほろ酔い気分がどこから来るものなのか調べてみると、深いところで脳科学に結びついていることが分かってきました。

■お酒の麻酔効果


お酒を飲むと、アルコールは胃や腸で吸収されて血管へまわります。血液中のアルコールは、人間の意識や精神活動など理性をつかさどる大脳新皮質(脳の表面に近い表層部分にある)に「麻酔」作用をおよぼします。

「麻酔」作用で働きが鈍くなると、大脳新皮質の働きに抑制されていた人間の本能や情緒活動など感情をつかさどる部分の働きが活発になります。

ほろ酔いでは「気分さわやかで活発な態度をとる。話はなめらかになり、抑制が少し外れる」程度ですが、酔いが進むにつれ、思考力・判断力が鈍くなり、感情があらわになっていきます。

大脳新皮質が麻酔されると、見えてくるのが古代の記憶です。生命として戦ってきた記憶が大脳旧皮質から新皮質のスクリーンなしで感じることができる瞬間ですから、酔ったときは生命として格別な瞬間かもしれません。

さて「麻酔」作用の主な要素は
(1)鎮静
(2)意識の消失(催眠)
(3)体が動かなくなる(不動)
(4)痛みの消失(痛覚消失)
(5)麻酔中の記憶の消失です。

手術に用いられる「麻酔」は使用するとすぐに外科麻酔期(催眠・不動・痛覚消失・記憶消失)となるのに対して、「アルコール」は初期の軽い「麻酔」が長く続き、精神的な抑制が解かれ興奮状態が表面化することが特徴で、これがアルコールによる酔いの正体です。

では、どのようにして麻酔薬はそうした状態をもたらすのでしょうか。「麻酔」の研究によって、これら個別の効果がそれぞれどのように生じるのか、メカニズムが徐々に解明されつつあります。

ごく簡単に説明すると、麻酔薬は種々の神経細胞(ニューロン)群と非常に特異的に相互作用することによって、麻酔に見られるそれぞれの効果を生み出すことがわかってきたそうです。

このように酔いのメカニズムが理解できると、飲みすぎで「記憶」がなくなることも、麻酔効果であることが理解でき、ほんの少しだけホッとします(私だけかもしれませんが)。

アルコール分解へのトマトの効果


お酒を飲むときにトマトジュースを一緒に飲むと、血中のアルコール濃度が3割低下し、体内からのアルコール消失も50分早まることが、アサヒグループホールディングス株式会社とカゴメ株式会社の共同研究で分かり、2014年5月に日本栄養・食糧学会大会で発表されました。

ラットによる実験で、トマトの水溶成分によってアルコールの代謝に関わる酵素の活性が高まることが分かったそうです。

お酒と一緒にトマトを食することで、より軽い「麻酔」効果となり、酔いのまわりが緩やかになるかもしれません。また、「麻酔」効果の消失も早まり、飲酒後の酔い覚めも早まる可能性があるかもしれません。

ただし、いくらトマトがアルコール分解に効くといっても、飲みすぎにはご注意ください。
(文:小林 ひとし)