レバノンのサード・ハリリ首相(2016年11月3日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】レバノンのサード・ハリリ(Saad Hariri)首相(47)は4日、イランがレバノンに及ぼしている影響と自身の生命の危険を理由に辞任すると明らかにした。

 サウジアラビアから衛星テレビ局アルアラビーヤ(Al-Arabiya)で放送された演説の中でハリリ首相は、「私の生命を標的とした密かな計画が進行していることを感じた」と述べた。2度目のレバノン首相を務めているハリリ氏は、同国で長く首相を務め2005年に暗殺されたラフィク・ハリリ(Rafik Hariri)氏の息子。

 ハリリ首相は、イランや、イランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア(Shiite)派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)が中東で主導権を握ろうと画策していると非難。「イランはこの(中東)地域各国の運命を握っている。ヒズボラはレバノンばかりか他のアラブ諸国でもイランの実力組織になっている」と述べた。

 またハリリ首相は、イラン政府が「子供たちの間に不和の種を撒いて国の中に別の国を作り、レバノン内政で最終的な決定権を持つまでになっている」と批判した。

 一方、イラン外務省の報道官は「事実ではなく根拠もないイランに対する非難を繰り返していることは、辞任によってレバノンと中東に緊張を作り出す意図があることを示している」と述べ、ハリリ首相の発言を一蹴した。

 イスラム教スンニ(Sunni)派のハリリ首相は、ヒズボラの政治部門も参加している現政権の発足から1年もたたないうちに辞任することになる。突然の辞意表明により、すでに脆弱な中東の小国レバノンがさらに深い混乱に陥ることが懸念される。

 後任の首相が誰になるかは不透明だ。レバノンでは15年以上続いた内戦の終結に寄与した権力分担制度により、大統領はキリスト教徒、首相はイスラム教スンニ派、国会議長はイスラム教シーア派から選出することになっている。

 ハリリ首相が持つ自身の安全への懸念はレバノン国民からほとんど注目を受けていないようで、ソーシャルメディアには同首相が外国から外国の放送局を利用して辞任を表明したことをあざける投稿があふれた。
【翻訳編集】AFPBB News