在韓米軍へのTHAAD配備でこじれていた中国と韓国の関係が修復に大きく動きだした。韓国紙では歓迎する声が上がる一方、「韓国の主権も再発防止策もない」などの見方も目立ち、評価が分かれている。写真は韓国。

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2017年11月3日、在韓米軍への高高度迎撃ミサイル(THAAD)配備をめぐり、こじれていた中国と韓国の関係が修復に大きく動きだした。これについて韓国紙では歓迎する声が上がる一方、「韓国の主権も再発防止策もない」「心地悪い」「道は遠く険しい」などの冷めた見方も目立ち、評価が分かれている。

韓国メディアによると、関係修復の兆しが見えてきたのは10月18日〜24日に開催された中国共産党大会から。習近平総書記(国家主席)が2期目の政権をスタートさせたことで中国は外交政策の見直しを行い、これを受けて韓国大統領府安全保障室と中国外交部との間でTHAAD問題解決に向けた水面下の交渉が再び始まった。

中韓両国は10月31日、関係改善を目指す共同文書を発表。双方は「関係を重視し、両国間の共同文書の精神にのっとり戦略的な協力パートナー関係の発展を推進していくとした」とし、交流協力の強化が双方の共同利益に合致するとの認識の上に、あらゆる分野の交流協力を正常な発展軌道へと速やかに戻すよう合意したことを明らかにした。

関係改善について、左派系のハンギョレ新聞は「非常に良いことだ」と評価。「顧みればTHAAD問題による韓中あつれきの本質には、THAAD導入過程の未熟さと中国の過度な経済報復などが相互の信頼を壊し、状況を悪化させた側面が大きい」としながらも、「韓中の雪溶けはがちがちに凍り付いた北朝鮮核問題の解決に新たな活気を吹き込むことが期待される」と強調している。

これに対し、保守系の各紙は韓国政府の対応を問題視する。共同文書の発表に先立ち、康京和外相が国会で「THAADの追加配備は検討していない」「米国のミサイル防衛(MD)体制に韓国は加わらない」「韓米日3カ国の協力関係は軍事同盟に発展しない」との方針を説明したためだ。

朝鮮日報は社説で「今回のTHAAD合意の内容を見ると、被害者であるはずの韓国の立場が全く考慮されておらず、逆に韓国が加害者であるような印象さえ受ける。とりわけ韓国が将来にわたり主権を放棄するかのように受け取られかねない部分は特に深刻だ」と指摘。別の記事では「康外相は中国が示した関係改善の『踏み絵』を踏んだ」と批判した。

中央日報も社説で「心地が良くない。両国の合意結果を見ると、ただ両手を挙げて歓迎できるわけではないと考えるからだ。韓国経済に甚大な打撃を与えた中国のTHAAD報復に対して再発防止や遺憾表明を一言も聞くことができなかった」と論難。東亜日報は「今回の合意も未完のまま残されたことが多い。今後、韓中関係をどのように解いて行くかによって、解消または増幅される可能性がある」としている。(編集/日向)