女優の松雪泰子が、4日から東京・天王洲の銀河劇場でおこなわれる舞台『この熱き私の激情』に出演。舞台開幕前に会見とフォトコールに応じた。会見には、共演の小島聖、初音映莉子、宮本裕子、芦那すみれ、奥野美和、霧矢大夢と、翻案・演出を担当したカナダ人の演出家、マリー・ブラッサールも出席した。

 この舞台は、元高級娼婦という過去を持ち、36歳で自殺を遂げたカナダ・ケベック生まれの女性作家、ネリー・アルカンの世界を、本、映画、舞台と3カ月連続で発売、公開、上演するというプロジェクト『Discover Nelly Arcan』の一環としておこなわれるもの。

初日を迎えるまえに記者会見をおこなった松雪泰子ら

 松雪は「マリーさんの元、かなり過酷な稽古をおこなわせていただきました」と5週間ほどの稽古を振り返りながら「日々マリーさんの感性に圧倒されながら、どこまで私たちがネリーの精神をしっかり体現できるかという緊張感を持ってですが、いい初日になるよう演じたいと思います」と意気込みの程を語る。

 ストーリーは、アルカンの残した4編の小説をコラージュし、ブラッサールにより舞台化。舞台は6人の女優と、ダンサーとして活躍する奥野という7人で、松雪を中心にアルカンという一人の女性を演じ分ける。

 ブラッサールはこの作品について「アルカンの正確なメッセージを日本のお客様に届けたいというわけではない。しかしこの作品を見ることによって、アルカンというアーティストの作品を改めて深く見直し、女性が置かれている現実、そして状況というもの、現代の女性の立場というものを、みんなで内省できればと思っています」と今回の作品化への思いを起こす。

キューブのなかで物語はすすむ

 併せて「この作品は現代社会におけるプレッシャーというものも提示しています。メディアから与えられるプレッシャー、また自分以上の何かにならなければいけないという概念がある、そういうプレッシャーが表されていると思う。この作品を見た後で、ぜひアルカンの深い素敵な言葉に深く感動するとともに、そういうことについてお客様に考えていただければと思っています。ストーリーに感動していただき、私的な表現であったり、インスピレーションを受けるということであったり、様々なことを考えて、闇ではなく光を持ち帰っていただきたい」と作品をアピールしている。

 舞台には10個のキューブが置かれ、出演者は一人ずつキューブの個室に入り、前面をガラスで閉じられた空間で演じており、お互い顔も見えずイヤーモニターから聞こえる音・共演者の台詞だけを頼りに演じるという新しい演出手法が披露される。

 アルカンの原作小説を読んだ際から、その痛みに深く共感していたという松雪は「影の部屋の女」という役柄を演じ、死について一人で語り続け、その後首つりについての歌を歌うというショッキングな場面など、舞台でも重要な役割を担っている。

公開リハーサルのもよう

 「自分の中の潜在的な痛みが、すごく彼女の痛みがヒットする場面が何度もあって、そのたびに苦しくなり身動きがとれなくなる瞬間がありました。怖くなって死に向かっていく精神状態を捕まえるのも非常に困難だったし、それを台詞を通して体現していくという段階では、本当に苦労の連続でした」とその役柄に同化していくことで、かなり精神的に大きな苦労を伴ったことを明かした。

 また、「言葉自体がとても強く美しいので、しっかりとそれを伝えることにフォーカスしたいなということで稽古場ではやっておりました」と演技においての狙いを語った。

 また舞台全体を通して個々でありながら全体を通して一つであることを意識していることを語りながら「劇全体通しての調和がとれた瞬間が目撃できるのではないかと思っていますと」と作品の見どころを語る。

 またネリーという女性の目を通した作品である一方で、男性に向けても「女ってこんなこと感じながら生きているんだ、ということをただ感じていただければと。ハッとさせられたり、びっくりする瞬間があるかもしれません。でも女性は本当に優しく美しいので、そこを感じていただければ」とアピールをコメントしている。【取材・撮影=桂 伸也】

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公開リハーサルのもよう キューブのなかで物語はすすむ 初日を迎えるまえに記者会見をおこなった松雪泰子ら