AKB、乃木坂、モー娘。中心メンバーの相次ぐ卒業は何を意味する? 成熟したシーンが迎える転換期

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 その人がどれだけ愛されていたのかは、去り際にこそ現れるものだ。アイドルであれば卒業コンサートがそれに当たる。10月31日にさいたまスーパーアリーナで開催された『渡辺麻友卒業コンサート 〜みんなの夢が叶いますように〜』の中継を観ていて、改めてそう強く感じた。オーケストラ演奏をバックに声を詰まらせながら渡辺が歌う「初日」から幕を開けたコンサートは、彼女のソロキャリアや初代チームBからグループを牽引してきた柏木由紀、指原莉乃との絆が見えた。そして、転換期を迎えたグループの現在地を見ているようでもあった。

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 例を挙げれば、『月刊AKB48グループ新聞』2017年10月号では、渡辺の他にも木ゆりあ、大矢真那、木下百花、矢倉楓子、大滝友梨亜、島田晴香の卒業コンサート、公演、企画、発表が紙面にて報じられている。北原里英の卒業も来春に控えており、乃木坂46に目を向ければ中元日芽香、伊藤万理華、モーニング娘。’17からは工藤遥の卒業が決まっている。現在のアイドルシーンを代表する各グループからの相次ぐ卒業は何を意味するのだろうか。

 90年代末にモーニング娘。が国民的アイドルグループとして登場し、『第1回AKB48選抜総選挙』が開催されたのが2009年。2011年には、後に国民的アイドルグループとしてAKB48に肩を並べることになる乃木坂46が結成される。モーニング娘。一強時代であった昔に比べ、AKB48と乃木坂46の登場によって、アイドルを応援することはより身近なカルチャーとなって現在に定着している。“アイドル戦国時代”と言われた2010年頃から、数々のアイドルグループが生まれては消えていった。「アイドル5年」という一つの提唱を昨年から今年にかけてよく目にするようになったが、それは多くのグループが惜しまれながら解散や卒業という道を辿っていったからだ。48グループが姉妹グループを増やし続けていることからも分かる通り、アイドルの母数は日々増え続けている。また、残酷ではあるが、現状の女性アイドルシーンでは、旬を迎えたメンバーが新たな目標をグループ活動の中に見出すことは難しく、次なるステージへ向かうために卒業していくのが現実である。

 渡辺は卒業コンサートで「頼りになる後輩も出てきて、この子たちならこれからのAKB48を任せていけるなと思う機会も最近は増えて。だからこそ私は卒業を決心できました」と話していたが、3人ユニットの「君のc/w」ではメンバーに向井地美音と小栗有以を選び、「真夏のSounds good !」では渡辺が48グループの若手メンバーから選出したメンバーがステージに立った。ゲスト出演したえなりかずきに演出ではあるが「これからはゆいゆい(小栗)の時代だと思うんですよね」と卒業コンサートの場で言わせたのも、AKB48の次を思う渡辺の愛が込もっているように思える。モーニング娘。では、工藤が13期メンバー加賀楓、横山玲奈の教育係に。乃木坂46においても、与田祐希に西野七瀬、大園桃子に白石麻衣と3期生とのペアが見える。

 グループの顔とも言えるメンバーたちが、後輩たちにグループの未来を託すようにして去ることが続く2017年。後に振り返った時、アイドルシーンにおける一つの転換期として挙げられる年となるのではないだろうか。(渡辺彰浩)