とにかく何を頼んでも美味しく、毎日でも通いたくなる!

神楽坂といえば、「大人の隠れ家」の街。

しかし、単なる路地裏の隠れ家というよりも、店の前まで来ても「え?ここ家じゃない?」と思わせるほどの本気の「隠れ家」感があるのが、今回紹介する『神楽坂 アルボール』だ。

店の中に入れば、その最初の少しの戸惑いを忘れ、すっかり友人の家のようにくつろいでしまう名店なのだ!



階段をくだっていくと、邸宅の石塀に『ARBOL』の看板を見つけることができる
神楽坂の裏路地の石畳を抜け
階段をくだっていくと辿り付く

著名な作家たちが逗留して執筆活動をした旅館「和可菜」や高級料亭が軒を連ねる神楽坂の裏路地のなかでも敷居の高いイメージのある兵庫横丁。そんな通りで最も道が細い階段坂に面しているのが、今回紹介する『神楽坂 アルボール』である。

早稲田通りの喧騒は、裏路地に入るだけで嘘のように消えていく。この喧騒と静寂の対比も、これから導かれる名店への期待値を上げてくれる。



入ってはいけないのではと思うほど普通の家の玄関が名店への入り口である
どう見ても「古田さんの家」
邸宅へ招かれたような感覚に

名店ひしめく兵庫横丁の細い路地を抜けていくと、階段が現れる。それを下るともう『神楽坂 アルボール』はすぐそこ。

一瞬躊躇するかもしれないが、MAPアプリが示す通り「古田」と書かれた表札が掲げられた邸宅こそが目的地である。



敢えて玄関部分には改装を加えず、「古田家にご飯を食べに来た」という感覚で訪れて欲しかったと語るのは、オーナーシェフの古田氏

インターホンを押して、玄関の戸を開ける。その佇まいは、ほぼ民家の玄関。

しかし、この玄関を越えた瞬間に、なんだかホッとするのは、今までの「ここでいいのか?」という不安からの解放と同時に、靴をスリッパに履き替えることで、まるで誰かの家に招かれたような感覚にしてくれるからだろう。



なるべく寛げる空間にしたいという古田シェフの想いから、店内は限りなくお家のような雰囲気を演出。大型モニターでは、映画が流れていることも
居心地の良さ抜群!
寛ぎ要素がちりばめられた店内

玄関と客席をガラス戸で仕切っているため、玄関を入るとすぐに店内の雰囲気を見渡せる。



店内奥に備わるソファー席はグループでの利用に最適。他にも冬期でも利用できるテラス席なども備える

席につくと、中央に構えるカウンターキッチンで、立派な鮮魚がさばかれていく様子や、パスタが完成していくのが見える。つい惹かれ、注文せずにはいられなくなってしまうはず。


野菜料理もパスタも、忘れられないほどの絶品メニューぞろい!



この日の前菜は「カツオとレンコンのカルパッチョ」。玉葱を煮つめ、バルサミコとオリーブを細かく切ったものを入れたドレッシングが全体の一体感を高めてくれている
まずは新鮮野菜を使用した前菜をオーダー

同店の特徴は隠れ家感だけではない。生産者と結びついた「ファーム トゥー テーブル」を目指す古田シェフが作り出す、野菜を中心にした創作イタリアンの味わいも訪れた人の記憶に強く刻まれるだろう。

鎌倉、三浦、そして京都から毎日新鮮な野菜を仕入れ、その日の仕入れ状況により少しずつ料理も変化していく。同店の屋上には自家菜園も備え、夏にはトマト、冬にはハーブ類などを栽培している。



緑のパスタこと「ルッコラのタリアテッレ」。大きさが目をひく京都の丹波シメジからポルチーニ、マッシュルーム、鴨と玉葱などに加え、ハーブ類もプラス。秋の味覚を存分に感じる事ができる一皿である
秋が旬の食材を贅沢に
自家製パスタ3種も絶品

パスタメニューに目を向けると「緑のパスタ」、「赤のパスタ」、「黄のパスタ」と気になる表記が目に入る。こちらはそれぞれの色が示す旬の野菜を練り込んだ自家製パスタである。

この日はルッコラを練り込んだ「緑のパスタ」をセレクト。美しく鮮やかな色合いに負けない、ルッコラのいい香りが口に入れる度に広がっていく。

ほか、この日の黄色は「サフラン」、赤は「トマト」を練り込んでおり、それぞれ違った味わいが楽しめるので食べ比べてみるのもいいだろう。



京都産のコシヒカリにトマトやスパイスの旨みと香りがしみ込み、最高の状態で運ばれてくる「土鍋のチキンライス」(1,400円)※注文から完成まで20分ほど要する
名物はさらに〆も潜む
ただの土鍋ご飯ではない!

〆には名物の「土鍋のチキンライス」を味わって欲しい。京都産のコシヒカリとともに、トマトや独自配合のスパイス、レモングラスに巻き炙った鶏つくねなどを入れて炊きあげる土鍋は、一度は味わってほしいメニューだ。



つくねはレモングラスから外し、トマトとともにクラッシュしながら混ぜて召し上がれ。ほうれん草やバルサミコ酢、パルメザンチーズで味変していくのも楽しい

古田氏の「かしこまらずにほっとする料理を味わって欲しい」という想いが、一番感じられる逸品だろう。



玄関脇に備える個室の利用は要予約

開業から8年。利用時間制限などは設けず、とにかくゆったりと過ごして欲しいという古田シェフの想いを体現化し尽くした『神楽坂 アルボール』。

今夜はゆったりと大切な人との時間を過ごしたい。そこに美味しい料理とお酒があったら……という願望がよぎったならば真っ先に『神楽坂 アルボール』を思い出して欲しい。