表彰式で高々とカップを掲げるFW杉本健勇

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[11.4 ルヴァン杯決勝 C大阪2-0川崎F 埼玉]

 予期せぬ形で訪れたいきなりの絶好機にも落ち着いていた。セレッソ大阪は試合開始早々の前半1分、DF丸橋祐介のスローインをFW柿谷曜一朗が頭でそらすと、DFエドゥアルドがまさかの空振り。素早くボールを拾ったFW杉本健勇がPA内に持ち込み、GKとの1対1から冷静に右足でゴール右隅に流し込んだ。

「『来た!』と思って。まさかあそこでミスするとは思わなかったし、とにかくミートを意識して思い切り打った」。今季のJ1でも得点ランキング2位タイの19ゴールを挙げているストライカーに柿谷も「普通は(杉本)健勇がヘディングして僕が裏に行くけど、あのときはたまたま。(GKと)1対1になってどうなるかなと思ったけど、今年のあいつは“打てば入る”というのがあるから。頼もしいですね」と笑った。

 今までに経験したことがないプレッシャーとも戦っていた。杉本はこの日がルヴァン杯初出場。チームとして若手や出場機会の少ない選手を優先的に起用し、決勝トーナメントに入ってからは日本代表に招集されていたため、これまでベンチ入りもなかった。

「いろんなものがこみ上げてきた」。優勝を告げるホイッスルが鳴ると、ピッチに突っ伏し、試合直後のインタビューでは溢れ出る涙を拭った。「勝ってから話すと言っていたけど、ルヴァン杯は今日の1試合しか出てなくて、ベンチにも1試合も入ってない。負けたらどんな顔をすればいいのか。顔を見せられないなという不安もあった」と、試合前に抱いていた心境を打ち明けた。

 決意の先制点、覚悟の優勝。「すべてのシチュエーションが初めてだった。決勝も初めてだし、仲間が連れてきてくれた場所。そういうシチュエーションも初めてだった」。重圧を乗り越えた先につかみ取ったタイトル。その表情には喜びとともに安堵の色も浮かんだ。

 メインスタンドに設置された特設ステージでMVP表彰も受けた日本代表FWは「上から見る景色は初めてで、素晴らしい景色だった」と笑顔で振り返り、「ここがゴールじゃない。通過点だと思っているし、もっとタイトルを取れるように。これが始まりだと思っている」と力を込めた。

(取材・文 西山紘平)
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