C大阪サポーターから大声援を受け、選手たちに胴上げもされた森島氏。引退から9年、いまだミスター・セレッソの人気に陰りは見られない。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 ミスター・セレッソは感無量の表情を浮かべ、ミッスクゾーンに現われた。ナニワ桜のサポーターだけでなく、日本中のサッカーファンに愛された“小さな巨人”、森島寛晃氏だ。
 
 現役時代から、超が付くほどの低姿勢が有名。「いやいや僕なんか……」と謙遜していると、瞬く間に報道陣に囲まれた。
 
「優勝カップを持たせてもらいましたけど、持ち方がよく分からなくて(笑)。選手たちは最後まで身体を張って頑張ってましたね。待ちに待ってた初タイトルだけに、非常にいい瞬間を味わわせてもらいました」
 
 前身のヤンマー時代に入団し、JFLでの苦闘も経験。2008年シーズンに36歳で引退するまで、セレッソひと筋を貫いた。だが、天皇杯は3度決勝で敗れ、J1リーグでもあと一歩のところで優勝を逃してきた。2005年のJ1では最終節まで首位に立ちながら、終了間際に同点弾を決められて苦杯。在籍した17年間、タイトルとは無縁だった。
 
 まさにセレッソの象徴。現在は「チーム統括部・フットボールオペレーショングループ」の職に就き、主にチームに強化に従事しながら、広告塔としての役割もこなしている。この日、埼玉スタジアムのゴール裏を桜色に染めたサポーターは、“モリシ”への感謝を忘れていなかった。選手たちも同様だ。自然と「モリシ、モリシ、モリシマ!」のチャントがこだまし、選手たちによる胴上げで宙を舞った。
 
「ありがたいことです。これまで現役時代も引退してからもずっと歓喜の輪に入れなかったので、嬉しいですね。選手たちも関係者もこの瞬間を待ち望んでた。ルヴァンカップ25周年の記念すべき年に、セレッソがチャンピオンになれた。選手たちもサポーターもいい表情をしてて、喜びが溢れてきましたよ。モリシコール? ねぇ、ずっと『勝負弱いモリシマ』ってとこやったと思うんですけど、ようやくひとつ獲れて、ああやって声援を贈ってもらえた。ありがとうございます」

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初タイトル獲得記念キャンペーンを開催
 現役時代に中盤で名コンビを組んだユン・ジョンファン監督との距離感も、あいかわらず絶妙のようだ。
 
「立場が変わりましたけど、一緒に戦って優勝できて嬉しいです。(監督は)選手たちに常に厳しさを求めてますね。ホンマは選手たちと同じように楽しんでサッカーをしたい性分なんでしょうけど、そこは締めなきゃいけないという。チームを束ねるところでの巧さがあったと思います。僕? 僕はグラウンドで眺めてるだけですから(笑)」
 
 開始早々の先制点を決めた杉本健勇とチームの戦いぶりについては、こう評した。
 
「これまでのセレッソは大事な試合や決勝戦で、ビッグチャンスをモノにできなかった。それが開始早々のあのチャンスで、健勇がきっちり決めてくれましたね。彼の勝負強さがすごくよく出た場面だったと思うし、いちだんと大きく見えた。全員で身体を張って守って、最後にしっかり追加点を奪う。チーム一丸での勝利ですよ。練習の中でも勝負へのこだわりがすごくあるチームでね。出てないメンバーも含めて、同じ気持ちで戦い抜いた結果やと思います」
 
 ようやく掴んだ悲願の初タイトル。チーム強化に携わる身としては、ひとつの通過点だと捉えている。
 
「新しい歴史を作れました。きっと先に繋がる。ここからどれだけ貪欲になれるかだと思いますし、今シーズンはまだリーグ戦でACLを狙えるし、天皇杯もある。二つ目、三つ目と獲っていかないといけません」
 
 元日の天皇杯決勝の会場は、同じ埼玉スタジアムだ。「1か月半後にまたここに戻ってこれますように。もっかいネクタイを結べますように(笑)」と、最後まで茶目っ気たっぷりだった。

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