ピノ+クロワッサンの「ピノワッサン」は背徳の味! ディスク百合おん×山本さほが「コンビニかけ合わせグルメ」を語る【後編】

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「お刺身かにかま」と「冷凍チャーハン」を合わせただけの「かにチャーハン」、「わらび餅&白玉ぜんざい」と「抹茶練乳氷」を合わせた「宇治金時パフェ」などなど……。Twitterでたびたび話題を呼んでいたディスク百合おんの“コンビニかけ合わせグルメ”が単行本化! その発売を記念し、幼なじみの漫画家・山本さほと対談。前編ではマンガ『岡崎に捧ぐ』の著者と杉ちゃんのモデル(本人)ならではのユルくブッ飛んだ昔話に花が咲いた。

■コンビニの「たまごサラダ」は焼きそばパンに乗せてもそのまま酒のつまみにしてもイケる美味しさ!

――『コンビニかけ合わせグルメ』を書いたディスク百合おんさんが、『OH!MYコンブ』の愛読者だった……というのは深く納得できる話でした。

百合おん 『OH!MYコンブ』の当時出たレシピ本は僕のバイブルだったし、ボロボロですけど未だに持ってますからね。今回の本の打ち合わせにも持って行って、「これを今風にアレンジしたような本を作りたい」って話して。

――山本さんは読んでいて気になったレシピはありましたか?

山本 これウマそう!『納豆いか明太巻』。

百合おん ウマいよ。納豆巻をちょっとだけ開いて解体して、明太子を入れるだけ。

山本 やってみよ! 絶対おいしいですよ。

百合おん イカとか明太子は生ものだから、こういう手巻き寿司の状態ではコンビニも提供が大変だと思うんですよね。でも、密封されたいか明太子を自分でかけ合わせればイケちゃう。

山本 「海老塩ラーメン」も美味しそうだなぁ。

百合おん そういうの、どんどん言って!

――山本さんが本書に寄稿した「私のコンビニかけ合わせグルメ」では、コンビニで売っている「たまごサラダ」を絶賛していましたけど、本の中にもたまごサラダを合わせたレシピがありましたよね。

百合おん 僕が考えたのは、焼きそばパンの上にたまごサラダを乗っけるやつですね。このたまごサラダは俺も大好きです。

山本 メチャクチャうまいよね! ホントにそのまま酒のつまみにできちゃう感じ。

百合おん 「卵+マヨネーズ」って背徳の味だけどね。これは大変なパワーフードです!

――ディスク百合おんさんの中で「このレシピにまず挑戦してほしい!」というのは?

百合おん 女性向けのパワーフードならクロワッサンの中にピノを入れる「ピノワッサン」かな。俺も酔ったときにすげえ食いたくなるんですよね。小さいクロワッサンの端っこをちぎって、そこにピノを入れるだけ。

山本 へー!

百合おん チョココロネみたいな感じかな。でもクロワッサンもバターがたっぷり入ってるし、ピノはアイスだし、やっぱり背徳の味。

山本 ハイカラだ!

百合おん 何かのテレビ番組で、国民全員が太ってる南国系の国があったんですけど、そこの人たちはコンビニでアイスを買うとき、食パン1斤を一緒に買ってきて、そのパンちぎりながらアイス付けて食ってるんですよね。「そりゃあ全員太るわ」って思いましたけど、それをヒントに思いついたレシピで。やっぱパンとアイスが最高に合うんです。

山本 絶対おいしいと思うけど、見た目がインスタ映えしなそう。

百合おん 『風の谷のナウシカ』の王蟲(オーム)みたいな感じだからね(笑)。インスタ映えが1番よさそうなのは、セブンイレブンの「わらび餅&白玉ぜんざい」と「抹茶練乳氷」を合わせた「宇治金時パフェ」。これは会心の出来でした! 盛り付けが難しいんだけどね。

■マザコン代表として声を大にして伝えたい「ママはホントに凄い」という事実

山本 「宇治金時パフェ」も、もともとは杉ちゃんが写真を撮ってアップしたんでしょ?

百合おん うん。でも、真似して作った人たちはみんな苦労してたね。あと僕、かけ合わせグルメをはじめてから、食器とか盛り付けに興味を持つようになったんですよ。それであらためて感じたのは、「お母さんってスゴいな」ってこと。実家に住んでいたときは、出てきた料理を見て「まずそう」とか思うこともありましたけど、見た目まで気を使うってすごい大変だなと。

山本 杉ちゃんマザコンだからね。

百合おん まあちょっとね(笑)。

山本 本当にお母さんのこと好きなんです。小学生の時からずっとそう。で、お母さんも杉ちゃんのことが大好きなんですよ(笑)。

百合おん 高校生か大学生のころ、山本さんが夜に車で「遊びに行くぞ!」って誘いにきたことあったじゃん。冗談っぽく俺をパジャマのままさらおうとしたら、母親がバーっと出てきてホントに心配した顔してて(笑)。

山本 杉ちゃんが「やめろー」って暴れてるのを、私と岡崎さんが後部座席に押し込んだんだよね。

百合おん 傍から見たらマジでやばい状況だもんな(笑)。話が逸れたけど、だから日本中のママ、世界中のママはホントにスゴいんですよ! マザコン代表として声を大にしていいたいですね。この本のかけ合わせグルメはお手軽に作れますけど、お母さんは一から料理を作ってくれてるわけですから。この本で、少しでもお母さかが楽になってくれたら嬉しいです。

山本 この本、おかあさん向けだったんだ(笑)。

百合おん おかあさん向けでもある! 忙しい朝とかにこれで一品休めたらいいな……みたいのはちょっとあるかな。全国のお母さんに「舐めんな!」って言われるかもしれないけど(笑)。でも、手作りっぽく見えるレシピもホントにあるんですよ。

山本 確かに確かに。

――子供が喜びそうなものも多いですよね

百合おん そうなんですよ! ピクニックに持っていったら喜びそうなものとか、一緒に楽しく作れるものもあるので、包丁を持たせるのは恐いけど「料理ってこんなのだよ」って教えるきっかけにしてくれても面白いかなと。

山本 レシピが300円くらいなのもいいよね。

百合おん ワンコインに収まるくらいになるよう意識しています。

山本 家族の食卓で1品増やすのに使うのアリだよね。

百合おん お父さんが「品数が少ない」とか言うなら、こっそり使ってみてほしいですね。

――あと、お刺身かにかまと冷凍チャーハンを使った「かにチャーハン」とかは、かにかまのほうが値段が高いのが面白いですよね。コンビニ食材を使った節約グルメでは絶対出てこない組み合わせだなと思って。

百合おん そうなんですよ。冷凍チャーハンは150円くらいで買えちゃうんで。でもお刺身かにかまは、目をつぶって食べるとカニと思えるくらいクオリティが高い。それをチャーハンに乗せるとテンションも上がるし、豪華さもボリュームもアップします。

山本 このチャーハンも、つきこさんの絵がいい!

百合おん レシピも褒めてよ! でも、イラストを描いてくれたつきこさんに、「山本さんが絶賛してた」って伝えなきゃ。

山本 ご飯って描くのが難しいんですよ。粒を一つ一つ書くと気持ち悪くなるし、描かなさすぎると何だか分からないし。いや、ホント勉強になります。イラストレーターを目指してる方にもいい本ですね。

百合おん いいことを言うね。

――レシピもいいけど絵もいいぞと。

山本 というより絵がいい!

百合おん おい! 絵だけじゃなくて全部いいよ!

山本 絵だけで買う価値がある本で、プラスアルファで「なんかレシピも載ってるな」みたいな本だよね。

百合おん 俺が主軸じゃなくなっちゃったよ!

山本 画集としてぜひ買ってください。

百合おん 何で俺の要素を褒めてくれないんだよ! 考えるのホント大変だったんだから。Twitterにアップしているのは限定品とか季節モノが多いけど、この本では手に入りやすいものを中心にして、どのコンビニにも売ってるものを使ったレシピを考えてさ。

■「たまごとキムチとチーズを使うと大概なんでも美味しくなっちゃう」問題

――この本に載っているコンビニ食材は、明記はされていませんがセブンイレブンのものが多そうですよね。

百合おん 家から一番近いコンビニがセブンイレブンなんですよ。セブンイレブンのおにぎりとパンのクオリティは高い気がします。

山本 すごいよね。ちなみにこの本はセブンイレブンには置いてもらえるの?

百合おん 41都道府県にある662店舗で販売されます。

――これ、食材と一緒に並んでたら買っちゃいますよ。

百合おん 冷蔵庫に並んでいる食材の横に置いて、キンキンに冷えた状態で売ってほしいですね(笑)。この本を買ってレシピを読みながら、商品を選んでくれたらメチャクチャ嬉しいです。

――レシピを考えるときは、実際かなりセブンイレブンに通ったんですか?

百合おん 職場の近くにもセブンイレブンが4店舗あるので、仕事の休憩時間はそこをハシゴしてました。本を作るときも編集担当さんと商品を見ながら延々と考えて。最終的には5000円分ぐらい買って帰ったりもしたな。

山本 あやしすぎる!

――その場では食べられない中で、どうやって「これならイケる」って手応えを掴むんですか? 何かコツとかは?

百合おん 「意外性はない」ってよく言われるんですけど、それはそれで大事なのかなって。「これは確実に美味しいだろ!」っていうのを作っているから沢山の人が反応してくれる気がします。

山本 でもヨーグルトと干し梅を合わせた「梅ヨーグルト」はスゴい組み合わせだよね。

百合おん あ、これは冒険してたね。(笑)「ヨーグルトにドライマンゴーを一晩入れて置いておくと、ヨーグルトには甘さが移って、マンゴーはプルプルになって美味しい」っていう情報をTwitterか何かで見たんだよね。それでドライフルーツを見てるときに、「ああ、干し梅もドライフルーツだ!」と思ってやってみたんです。あとレシピを考える時は、「たまごとキムチとチーズを使うと大概なんでも美味しくなっちゃう」という問題もある(笑)。

山本 逆に鬼門なんだね。

百合おん そうそう。なんにでも合っちゃって。途中で「何にでもチーズ乗っけりゃいいな」と思いはじめて、「チーズかけ合わせグルメ」の本になりかけてたときが一番ヤバかった。

――ほか山本さんが気になったものはありますか?

山本 私はカリカリしたものが入ったアイスがメチャメチャ好きなので、「コーヒーチョコバニラアイス」は気になりました。

百合おん コーヒービーンズチョコは、砕いてすぐ混ぜるとボソボソしちゃうんだけど、一回冷やすとパリパリ感が出るよ。ちょっと手間は少しかかるけどね。

山本 チョコチップアイスとかチョコミントアイスに近い食感になりそう。クーリッシュは皿に絞るだけでいいの?

百合おん 出してからチョコと混ぜて、ちょっと冷やすと美味しいね。普通の「スーパーカップ」みたいなアイスは一回溶かしたものを冷やしすぎると固くなっちゃうんだけど、クーリッシュはそうならなくて美味しいんですよ。

山本 クーリッシュを皿に出すっていう発想がなかったなぁ。

百合おん だからクーリッシュには可能性を感じてます。チューブだから、ギューって絞ってソースみたいな使い方もできるから。

山本 そういう使い方してる人、多分いないよね。気付いたのは杉ちゃんだけだよ。すごいよ!

百合おん それは嬉しい!

山本 あとセブンイレブンのスイーツは単品で食べてもどれも美味しいんで、かけ合わせたら美味しくなるのが想像できます。

百合おん そう。美味いものと美味いものを合わせてるから、それは美味いんですよ。でも大事なのは掛け算になっていること。「かけ合わせグルメ」ってタイトルにはそういう意図もあるんです。「かけ合わせグルメ」って言葉は、尊敬するパリッコさんが思いついた言葉なんですけど。

山本 人が思いついた言葉をタイトルにしたんだ!

百合おん 自分が言ったみたいな気になってますけど、実際はそうです(笑)。危ないですね。

■まだ山本さんの背中も見えないけど、給水所で飲んだコップが落ちてるのは見えた

――自分でレシピを考えてかけ合わすことの実験的な楽しみもこの本の魅力だと思いました。

百合おん 考えるだけでもワクワクするんですよね。だから「これとこれが合いそうだな」って考えてコンビニに行って、その食材が見つかって、それで家に帰って……って過程が何より楽しい。家に帰るまでがピークですね。

――その後は下がっちゃうんですか(笑)

百合おん 失敗で下がるときもありますけど、それも面白さなんです。あと人と一緒に作ってると、美味しいものができたときに笑っちゃうんですよ。「やった!これは発明だ」とか言いながら。

――じゃあぜひ友達や家族と一緒にやってほしいですね。

百合おん かけあわせのアイディアも出てきますからね。実際「かぼちゃアイス」とかは、ただ乗せようとしてた食材を「混ぜたほうがいいんじゃないですか」と担当さんが言ってくれて今の形になりました。だからリッツパーティの後はコンビニかけ合わせパーティが流行るんじゃないかなと。

山本 D通の人、目を付けてくれないかな。

百合おん H堂さんとかね。

山本 それで夕方の「news every.」で杉ちゃんとこの本が紹介されてほしい!

百合おん 何でそんな具体的なんだよ! でも、今までの僕の活動の中で、いちばん多くの人に刺さっているのは確かなんですよ。やっている音楽はマニアックなジャンルだから全然知らない人に聴かせると「つ、通好みだね……」みたいな反応が多かったですけど、かけ合わせグルメはみんなが喜んでくれるんで、もっと多くの人に知ってほしいです。

――お話を伺っていると、本当にかけ合わせグルメが好きでやっていることが伝わってきました。山本さんとしても杉ちゃんがこういう本を出したのは嬉しいですか。

山本 そうですね。まさか杉ちゃんが本を出すって思わなかったので。しかも本人が『岡崎に捧ぐ』の杉ちゃんだということとは一切関係のない本だし、私が漫画家になってなくても、この本は全然関係なく出たと思うんですよね。ただでさえ本を出すって大変なのに、自分の力で出したっていうのはメチャメチャすごいことだなって。同じ地元で生まれ育った2人が、こうやって2人とも本を出したっていうのも凄いことだなって。

百合おん 当時は考えられなかったし、山本さんと同じように本を出せたというのは嬉しいですよ。まだ山本さんの背中も見えないですけど、給水所で飲んだコップが落ちてるのは見えたというか。いや、ホントに感慨深いです。

取材・文=古澤誠一郎

新たな「かけ合わせグルメ」を作ってもらった!

 ぜひ皆さん試してみてくださいね!

ディスク百合おん

ナード(オタク)カルチャーとダンスミュージックを融合させた音楽ジャンル「ナードコア」を得意とするミュージシャン/DJ。数年前から独自に「コンビニかけ合わせグルメ」を楽しむようになり、完成品をTwitterにアップしたところ、多くのリツイートと「いいね! 」を集めて話題を呼んでいる。

山本さほ

漫画家。ウェブサイト「note」で発表していたマンガ『岡崎に捧ぐ』が話題となり、『ビッグコミックスペリオール』(小学館)で連載開始。現在3巻まで発売中。そのほかの作品に『山本さんちのねこの話』(小学館)『無慈悲な8bit』(エンターブレイン)がある。