11月に入るといよいよ寒さも本格的に。温かいこたつをそろそろ出そうかな……と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか? 実はこたつをはじめ、暖房器具を出すのにふさわしい日があるのをご存じですか?
旧暦の亥の月、亥の日、亥の子の日が、「こたつ開き」といわれる日にあたります。さらに亥の子の日に、イノシシの子、ウリボウに似た亥の子餅を食べると無病息災ともいわれます。その一方で、この日に大根畑に入ると恐ろしい呪いがかかってしまうかも……。
さてさて、今年の「亥の子の日」は何日にあたるのでしょうか? 正解は記事の最後に記すとして、今回は亥の子の日についてご説明しましょう。

旧暦の亥の月、亥の日は亥の子の日。暖房器具はこの日に出すとよいといわれています


縄文時代から豊穣の象徴だったイノシシ

亥の子祝いというのは、稲刈りの終了を祝う行事です。亥の子の日、すなわち亥の月(旧暦の10月、今の暦では11月ころ)、亥の日に行われていました。イノシシはたくさんの子どもを産むことから、イノシシにあやかって子孫の繁栄を願う習慣があったのですが、もとは中国の宮廷で行われていた儀式が平安時代に日本に入り、貴族の間に広がったそう。あの『源氏物語』にも、亥の子の日のことが書かれているそうです。
その後、ちょうど秋の収穫の時期だったこともあって、亥の子祝いは西日本を中心に農村にも広がっていくことになります。ノシシは日本でも古くから豊穣の象徴として大切にされてきたことから、縄文時代の土器にはイノシシをかたどったものや、イノシシの顔が描かれたものもあるようです。

古くからイノシシは豊穣の象徴。縄文時代の土器に描かれていることも


亥の子の日に亥の子餅を食べると無病息災

さて、亥の月、亥の日、亥の刻(夜9時から11時)に亥の子餅を食べれば、病気をしないといわれています。その亥の子餅は名前の通り、イノシシの子、ウリボウに色や形を似せて作られたもの。材料は新米に大豆、小豆、大角豆、胡麻、栗、柿、糖の7種類の粉を入れるといわれていますが、実際にはそれぞれの地域によって異なり、特に決まりはないようです。
亥の子餅はとても美味しいお餅なのですが、亥の刻は今の時間に直すと夜の9時から11時……。
無病息災を祈願するとはいえ、夜遅くお菓子を食べるのは、ちょっと、体重というか何というか……罪悪感を伴うという方もいるかもしれませんね(笑)。ですので就寝前ではなく、なるべく早い時間帯に食べることをおすすめします。

亥の月、亥の日、亥の刻にイノシシの子をかたどった亥の子餅を食べると無病息災


西の亥の子祝い、東の十日夜

亥の子祝いは西日本を中心に行われていますが、東日本では十日夜(とおかんや)といって、やはりこの時期、稲の刈り上げを祝う祭りがあります。
旧暦の10月10日に行われるもので、田植えから稲刈りまで田を見守ってくれていた神様が山に帰るこの日、収穫を祝い、お餅をついてお供えします。
また、稲束をお供えするエリアもあるのですが、これは田の神様が宿る依り代という意味があるそう。山に帰る途中、家に寄っていただいて、おもてなしをする。そんな意味合いがあるといわれているのです。
地域によっては案山子(かかし)にお供えしたり、案山子にお月見をさせる場合もあるとか。これは、案山子=田の神様と見立てていることが、その由来といわれています。ちなみに、この日は「大根の年取り」ともいわれ、大根を食べたり、大根畑に行くことを禁止しているところ! さらには、この日大根の太る音、割れる音を聞くと命を落とすという怖い言い伝えもあるそうですよ。

亥の子の日には大根畑に入ってはいけないという地域も……


こたつを出すのも亥の子の日?

ところで、亥の子の日に暖房器具を出すと、火事にならないともいわれています。
中国や日本では、すべてのものは木・水・土・金・水の五種類の元素からなっていると考えられてきました。これを十二支にあてはめると「亥は水」にあたるので、火事を防げると考えられていたのです。
そのため亥の月、亥の日に炉を使い始める「炉開き」が行われ、囲炉裏に火を入れたり、火鉢を出したりしていました。今でも、亥の子の日を「こたつ開きの日」とする人もいます。
ここまで、「亥の子の日」についてのあれこれをご紹介してきましたが、旧暦の亥の月、亥の日を今の暦に直すと2017年の亥の子の日は11月8日です。
寒い時季にこたつを使用しているご家庭であれば、きたる11月8日(水曜)に、験を担いでこたつを準備してみてはいかがでしょうか。

亥の子の日に暖房器具を出すと火事を防げるといわれています