奄美と聞いて思いつくのは、豊かな自然……ですが、実は奄美の食文化も、自然と負けず劣らず豊かでバラエティに富んでいるんです。ここでは、島唄が楽しめる家庭料理のお店からオムレツが名物の隠れ家的レストランまで、5つのお店を取りあげました。

 

【 ̄眸郷土家庭料理 かずみ】

伝統の島唄を聞きながら郷土料理を楽しめる

みんなで唄い踊り、島の文化にどっぷり浸かれる異空間

奄美大島イチの繁華街、名瀬にある「郷土料理かずみ」は、奄美に古くから伝わる島唄を聞ける貴重なお店。おかみさんの西和美さんも有名な唄者(うたしゃ)で、CDをリリースし、武道館にも立ったほどの腕前です。

 

お店は17時にオープンしますが、島唄が始まるのは、ある程度料理を出し終わった19時過ぎから。島唄は、男女の言葉の掛け合いに節をつけていくのが基本的なスタイルで、三味線を弾く男性の唄者に応えるように、和美さんが調理の手を止めて張りのある唄声を聞かせてくれます。

 

ここでは、島唄をじっくり聞くのではなく、一緒になって唄い、踊るのが特徴。店内に響く唄に合わせて手拍子するのはもちろん、太鼓も合わせた島唄「六調」が始まると、全員が立ち上がって唄い、踊り始めます。和美さんも「島唄はあらたまって唄うものではありません。唄が下手でも唄うし、三味線が弾けなくても弾く。誰でも楽しめる。それが島に息づく島唄なんです」と笑顔で語ります。

 

島唄には都会の疲れを癒し、元気を与えてくれる不思議な魅力が詰まっているんです。

↑料理はおまかせコース3000円からで、ボリュームも満点。素材は100パーセント奄美で採れたもの

 

↑おかみさんの西和美さんは有名な唄者(うたしゃ)。お店は40年の歴史があり、リピーターも多いです

 

【お店情報】

奄美郷土家庭料理 かずみ

奄美市名瀬末広町15-16

TEL:0997-52-5414

営業:17:00〜23:00 不定休

※要予約

※島唄を希望の方は、予約時にお伝えください

 

 

【架空食堂「Kurau」】

ジューシーなソーセージが自慢の奄美創作料理

奄美産を独自に表現する、知る人ぞ知る名店

奄美大島の繁華街、名瀬にある創作料理「架空食堂kurau(くらう)」。ヨーロッパの家庭料理をテーマに、奄美の食材を使ったオリジナリティーあふれるメニューがそろいます。特に人気のあるのが、奄美でもほとんど市場に出回っていない「あかりんとん」という地元産の豚肉を使った自家製ソーセージ。あぶらに甘みがあるとてもジューシーなソーセージで、来店する方の8割が注文するほどの名物。そのほかにも、あかりんとんの加工肉をベースにした創作料理が並びます。

 

また奄美のフルーツを組み合わせた料理や、魚介を使った料理など旬を生かしたメニューにも人気があります。奄美の地ビール「あまみガーデン」とともに食べる地元の食材は絶品。

 

店主の安田さんは奄美育ち。その後福岡に渡り、さまざまなレストランで修業。そのときに働いたビストロでの経験を生かして、いまから約6年前に奄美でお店を出しました。地元の人たちに愛され、いまでは姉妹店「Au pas camarade(お・ぱっきゃまらど)」もオープン。同じ名瀬にあるブラジル創作料理店で、豚肉料理スペアリブが好評だといいます。

 

知る人ぞ知る名店として、地元の人たちにも知れ渡っている両店。郷土料理とは一風変わった、奄美ならではの料理を楽しみたい方におすすめです。

↑お店一番人気の自家製ソーセージ(手前 700円)と、あかりんとんのリエット(奥 450円)

 

↑席数はカウンター8席、テーブル12席。お店は基本的に2人で切り盛り

 

【お店情報】

架空食堂「Kurau」

奄美市名瀬金久町16-6

TEL:070-5817-0493

営業:18:00〜夜更け 不定休

 

 

【ラフォンテ】

奄美の気候にベストマッチ。農園直営の本格ジェラート店

↑(写真左)パッションフルーツ、タンカン、真塩のジェラート、(写真右)黒糖、マンゴー、島ざらめキャラメルのジェラート。トリプル(3種類)で税込520円

 

島ならではの素材で作るジェラードは絶品

奄美空港から名瀬方面に向かう県道82号線沿いにあるジェラード店「ラフォンテ」。直営のいずみ農園で育ったフルーツで作られるジェラートは、どれも素材の味を十分に生かしたフレッシュな味わいです。マンゴー、パッションフルーツ、タンカンなどの南国フルーツはもちろん、チョコレート、イチゴ、ミルクなどの定番、さらには黒糖、真塩、島ざらめなどここでしか味わえないジェラードがそろいます。

 

お店一押しの島ざらめキャラメルは、奄美産のさとうきびを使って作られ、ざらめのコクがジェラードにマッチし、深みのある味わい。また、南国ならではのパッションフルーツのジェラートは、収穫が追いつかないほどの人気ぶりです。

 

お店のオーナー、泉さんは奄美出身の女性。夫とともにUターンで島に戻り、夫が農園を始めたことから、その素材を生かしたジェラード店を立ち上げました。

 

「私も主人も何度かイタリアを訪れたのですが、そのときに食べたジェラートのおいしさが記憶に残っていました」と始めたきっかけを話してくれた泉さん。

 

2011年にスタートしたお店ですが、いまでは観光客や若い女性、ファミリー層に人気があり、客足が途切れることがありません。目の前に広がる広大な農園と山々を眺めながら食べるジェラートは格別。1年中暖かい奄美の気候にもピッタリです。

↑県道82号線沿いに立つ、白がまぶしいかわいらしい建物。奄美の澄んだ青空に映えます

 

↑「カラフルなジェラートがあくまで主役」と、内装はベージュとホワイトのシンプルな色調

 

↑代表の泉さん。2017年で6周年を迎え、島で人気のジェラート店になりました

 

【お店情報】

ラフォンテ

大島郡龍郷町赤尾木1325-3

TEL:0997-62-3935

営業:11:00〜17:00(平日)、11:00〜18:00(土日祝日) 火曜日定休

http://lafonte.amamin.jp/

 

 

【じ義 鶏飯みなとや】

奄美の食文化に出会える名店

スープがなくなったら閉店

奄美の郷土料理といえば、「鶏飯」。白いご飯に、ほぐした鶏肉、錦糸卵、シイタケ、漬け物、ネギ、のり、干したみかんの皮などを乗せ、鶏ガラスープをかけて食べます。味は具だくさんのお茶漬けのような感じで、シンプルな具材にコクのあるスープがしっかりとマッチしています。大人なら2〜3杯はいけるでしょう。

 

「元祖 鶏飯みなとや」は、店名にもある通り、ここが鶏飯発祥の地。もともとはいまから400年前に薩摩藩の役人方をもてなすために作られた料理で、当時は炊き込みご飯でした。それを昭和21年に、この店の創業者である岩城キ子(きね)が現代風にアレンジ。鶏スープをかけた現在の鶏飯を作り上げました。

 

みなとやは、島では有名なお店で、客足は途絶えません。人気の秘密は、素材の新鮮さにあります。お客さんに提供するのは、その日の朝から作った新鮮なスープのみ。朝4時ころから仕込みをし、鶏をまるごと3〜4時間かけてじっくりと煮込みます。アクと余分な脂を取りながら、とろ火で煮るのがおいしさの秘けつだとか。このスープがなくなったら、その日の営業は終了となるなど、質の落ちるものは出さないというポリシーがあります。

 

いまでは奄美の一般家庭でも広く食べられている鶏飯。島の食文化を知る上でも、訪れておきたい名店です。

↑自分で具材を乗せ、スープをかけます。ご飯は軽め、具材はたっぷりがおいしいです

 

↑店の前には鶏の石像が。みなとやの創業者が鶏飯を編み出しました

 

↑「心を込めて作るとおいしくなる」とおかみさんの池山さん

 

【お店の情報】

元祖 鶏飯みなとや

奄美市笠利町外金久81

TEL:0997-63-0023

営業:11:00〜14:30ラストオーダー(売切次第終了) 不定休

http://minatoya.amamin.jp/

 

 

【テ工房カフェ夢紅】

時間を忘れて癒やされる隠れ家レストラン

↑手前が名物のカルボナーラオムレツ(1200円)。ペペロンチーノ(右、800円)、アンチョビ(上、1100円)も人気

 

島の雰囲気にどっぷり浸かれる愛ある空間

奄美空港から名瀬に向かう途中にある隠れ家的レストラン「陶工房カフェ夢紅」。地元の人から熱烈に愛される知る人ぞ知る名店です。料理はイタリアン。ペペロンチーノ、アンチョビの定番のほか、カルボナーラオムレツというイタリアのまかない料理も提供しています。

 

お店の売りは、何といってもその立地。お店は木造1軒屋を改造したカフェで、ウッディーな店内は南国の雰囲気が漂います。そしてテラスの目の前には、美しいビーチとキラキラと輝く太平洋が広がっています。ビーチに降りて行けば、そのまま海辺で波と戯れることができます。亜熱帯気候の奄美のそよ風を受けながら飲むトロピカルジュースは格別。都会の喧騒を忘れ、エネルギーを充電するためにはもってこいの場所。

 

お店を経営するのは、陶芸家の中嶋夢元さんと奥さん。夢元さんは、山口県山陽町とここ奄美大島に陶芸の窯を持ち、その工房でロクロを回す。独特の世界観を持つ器には定評があり、定期的に東京などで個展を開いています。レストランでもその器を使って料理が盛られ、訪れた人たちを魅了しています。

 

「心地いい場所を作りたかった」という奥さん。のんびりゆったりと時間を過ごしたい人にとっておすすめのスポットです。

↑グァバ(左)、パッションフルーツ(手前)、バナナ(奥)のジュース。ドリンクは600〜700円

 

↑デイゴの木の向こう側には美しいビーチが。「この景色が素晴らしい」とマスター

 

↑仲のいい夫婦がレストランを切り盛り。料理はもっぱら奥さんが担当

 

【お店情報】

陶工房カフェ夢紅

奄美市笠利町与湾神ノ子字殿地

TEL:0997-63-2341

営業:昼頃〜夕方 火・水定休

http://yumekurenai.com/