撮影:高橋邦典

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 ネパールの首都カトマンズにあるダルバール広場。古いチベット仏教建造物の並ぶこの一角は、人気の観光名所でもある。2009年、僕が初めてストリート・チルドレンと遭遇したのがこの広場だった。

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 僕と出会った頃、他の子供たちと変わらずタバコとグルーを吸いまくり、路上で野良犬のごとく生きていたチリング。玩具のピストルを手放さず、銃口を仲間に向けるその姿は、まるで将来のギャングスターにも思えた。

 1年ほどすると、そんな彼の姿を路上から姿を見かけなくなった。郊外にある施設に自ら入ったらしかった。多くの子供たちが、施設に入っても数日、長くても数か月でまた路上に戻ってきてしまうが、チリングはもうこれまで6年以上も施設での生活を続けている。

 「年長の連中がグルーでフラフラになりながら反吐を吐いたりしてるを見て、体を害してる、って思った。こんな風になりたくないって」

 昨年会ったチリングは、小ぎれいなシャツに身を包み、見違えるようになっていた。同じ年頃の3人とシェアする彼の部屋も綺麗に整頓されている。

 「もう路上には戻らない」

 幼い頃から変わらない、きりりと通った太い眉が、そんな意志の強さを表しているようにも見える。頼もしくなった彼の姿を見て、僕はなんだか嬉しくなった。

(2010年5月撮影)

※この記事はフォトジャーナル<ネパールのストリートチルドレン>- 高橋邦典 第50回」の一部を抜粋したものです。