弁護士・柳原桑子先生が堅実女子のお悩みに答える本連載。今回の相談者は、山田美和さん(仮名・34歳・メーカー勤務)

「1年前に、東京都心に念願の中古マンションを35年ローンで購入しました。古いのですが、東京湾花火も見えて、本当に気に入っている家なのです。

でも、2か月前から生活は一転。引っ越してきた上の階家族に、3歳の子どもがいるのですが、この子の足音がうるさくて……。

休日ゆっくりと眠れないし、足音や壁に何かを打ち付ける音が気になって、家にいるのが苦痛になりました。

予定していた資格取得の勉強もできません。先日、苦情を言いにいったら、最初は謝っていたものの、最近は“子どもですから”とか“なんというか、お互い様ですよね”などと言われ、最近では逆ギレされるように。

お互いさまっていっても、私はひとり暮らしなので、相手に迷惑をかけているとも思えません。最近は相手の顔から“結婚して子どもを持てばわかりますよ”と、思っているのが態度でわかるんですよ。管理会社に何度も伝えたり、仲介した不動産会社、警察などにも相談に行ったのですが、一向に改善される気配はありません。

まだローンが残っているのですが、売却して別のマンションを買うことも考えています。現在そこの奥さんが妊娠しているので、この音がダブルになると思うとつらいです。

このようなケースの場合、慰謝料などは請求できますか?」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

マンションの騒音のみならず、近隣問題はなるべく紛争化させたくないものです。

でも、「お互い様」といった許容の限度を超えるものと判断されれば、慰謝料請求が認められたケースもあります。

そのケースとは、足音などの騒音が深夜にも及ぶことがあり、直接「音をやめて欲しい」と伝えていたが改善しない。その後、管理人と管理組合が対応しました。

このとき、上階の住人は「自分も注意している。これ以上は無理です」という対応をとり、改善の見込みはほぼないと判断。それで、騒音の測定器による計測をした上で、調停(裁判所で話し合い)を申し立てましたが、上階の住人はそれを拒否。訴訟を提起するに至ったという事案です。

上階の住人はマットを敷くなどはしていたようですが、その効果も明らかではありませんでした。特に夜間には集合住宅での住まいの工夫をし誠意ある対応を取るのが当然なのに、不誠実な対応だったとして、双方の事情や対応を総合的に考慮した上で、慰謝料を認める判断がなされました。

つまり、音がうるさいと感じたら、慰謝料が請求できるという構図に直ちになるわけではありませんが、この事例のように、こちらは静かにするよう申し入れなどをして、改善に向けた努力をしたのに対し、上階の住人は、夜間にもかかわらず子どもが駆け回るのを放置するなどきちんとしつけをせずに開き直るなど、下階への配慮や誠意を欠くような場合、総合的な判断から慰謝料の請求が認められることがあるということです。

騒音は早朝から深夜0時あたりまで及び、雨の休日などは一日中ドタドタと足音がしているとか……。



■賢人のまとめ
相手の態度が不誠実であるなどの要素が重なれば、慰謝料請求が可能になる場合も。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/