道路交通法上は「最高速度」という表現

 スピード違反(速度超過)の何が問題なのかといえば、定められた最高速度を超えていることが違反とされている。ここで言う「最高速度」とはクルマのパフォーマンス限界という意味ではなく、道路交通法でいうところの標識や政令で定められた「最高速度」のこと。つまり、該当する道路において走行が認められている速度の上限という意味だ。

(最高速度)

 第二十二条 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。※道路交通法『第二節 速度』より引用

 そして、この「こえてはいけない速度」を示す最高速度について制限速度、法定速度、指定速度などさまざまな呼び方もあるが、道路交通法的にいえばいずれも通称で、上記の表現に従うしかない。そして、『道路標識等により指定されている最高速度』と『政令で定められた最高速度』の2種類が存在している。

 もっとも、政府機関の文書においても「いわゆる法定速度」といった表記は見られるので、広く使われている呼び方であるのは間違いない。

 あえて分類すれば「制限速度」は、いずれの最高速度も意味する言葉で、「法定速度」は政令で定められた最高速度、「指定速度」は標識等で指定された最高速度を意味すると理解するのが適切だろう。ちなみに、いわゆる「法定速度」は、乗用車については高速道路で100km/h、それ以外の道路では60km/hとなっている。 

 では「法定速度」と「指定速度」では、どちらが優先するのだろうか? この疑問に関する答えは、「指定速度」が優先する、が答えだ。

 しかも、法定速度より高い数値であっても道路標識が示す「指定速度」が優先する。法定速度より低い指定速度となっているケースが大半だが、法定速度が60km/hの一般道であってもバイパスなどでは標識によって80km/hの最高速度に指定されていることからも、それは理解できるだろう。