その歴史は12世紀にまでさかのぼる史跡・頤和園にこのたび、中国共産党宣伝事務所が設置される(VCG/Getty Images)

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 北京の頤和園(いわえん)は、世界遺産にも登録されている清王朝時代の庭園だ。近くの昆明湖からは、画のように洗練された美しい設計を望むことができる。しかし、歴史遺産に不釣り合いな、五星紅旗をたなびかせる中国共産党宣伝事務所が、このたび園内に設立される。

 中国のニュースポータルサイト新浪は10月30日、頤和園に「党の精神を伝える党代表事務所を設立する」との国家観光局の発表を報じた。李金早・国家観光局長は最近の会議で、党のイデオロギーを拡散させることの重要性を強調した。

 観光局は最近、共産党の歴史上、ゆかりの地をめぐる「紅色観光」を国内外に推し進めている。 ツアーの例は、人民解放軍が徒歩で1万2500キロを移動した「長征」軌跡をたどるものや、日中戦争の拠点訪問、建党に係わった人物の出生地めぐりなどだ。2005年、観光局は紅色観光の指定景勝地100選を発表し、観光スポットとして推奨した。 

 財政部(省)は2016年、総額15億4700万元(約266億円)を調達し、全国の「革命聖地観光」の発展を牽引すると発表した。

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 その歴史は12世紀までさかのぼる頤和園も、この共産党の「革命聖地」スポットに置き換えられている。1949年に、中央党校が設置され、その後も毛沢東の4番目の妻・江青などが園内の聴鸝館に住んだ。1953年以降、頤和園は一般公開され、観光地として利用されている。 

 頤和園を案内するガイドは、中国国内メディア・法制晩報の取材に対して、観光地で党の宣伝を行う熱意を語った。「代表事務所を通じて、私たちの党の政策と精神を促進する」。

 北京日報は7月、旅行情報サイト・途牛旅遊網のデータを引用して報じた。それによると2016年、中国各地における革命聖地観光地を訪れた観光客総数は、前年比11.7%増の11億4700万人、観光総収入は同17.2%増の3060億9000万元(約5兆円)にそれぞれ達したという。 

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 「紅色観光」は党思想を宣伝する観光ビジネスだが、この手法は、上海ディズニーリゾートや、まもなくオープンするユニバーサルスタジオ北京などの欧米資本の興行施設にも影響をおよぼす恐れがある。

 2016年6月に開園した上海ディズニーリゾート広報副代表マレー・キング氏は現地紙のインタビューで、「最高のキャスト(従業員)」は共産党員であり、定期的に政治セミナーを開催し、党の講習を受けているからだと述べた。

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 ディズニーランド内に、党宣伝事務所が設置されるかどうかは、まだ分からない。しかし、新たに中国を訪問する観光客らは無意識のうちに、観光地に駐在する共産党員によって「教育」される可能性はある。上海のミッキーマウスは、党思想を熟知した「中共ミッキー」かもしれない。

 中国でビジネスを展開する外資系企業はすでに、オフィス内に党組織を設立するよう党に圧力をかけられている。「約70%は既に要求を受け入れている」と、党人事を管理する中国共産党組織部・斎玉副部長は最近、国営メディアに述べた。

 いっぽう、「党への忠誠」を呼び掛ける当局の努力にもかかわらず、その求心力は失われつつある。ウォール・ストリート・ジャーナルによると昨年、党費を滞納した党員から集金したところ、天津市の国営企業だけで12万人以上の党員から約2億7700万元(約47億円)を回収したという。党員が、支払いを拒む傾向にあることがわかる。

 共産党および中国共産主義青年団(共青団)と中国少年先鋒隊(少先隊)の3つの組織から離脱するよう呼び掛ける華人有志団体・脱党支援センターによると、2017年11月2日現在、離党者は2億8000万人に上った。

(翻訳編集・佐渡道世)