ケガとの向き合い方を語る

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 大学卒業後、そのまま新潟でプロ生活が始まった。最初の一年は試合に出られなかったけど、川又堅碁(現磐田)や鈴木大輔(現ヒムナスティック・タラゴナ)と夜な夜な寮で筋トレをしていたのが思い出。仲間と支えあえたこともあってモチベーションは高く維持できたし、その翌年からは一緒に試合に出られるようになった。

 11年、12年シーズンは二年連続で右膝前十字靭帯を痛めて長期のリハビリ生活を過ごした(それぞれ全治8か月)。一回目のケガはそこまで苦じゃなかった。「今よりパワーアップして戻ってこよう」と思えたから、辛いなりに前を向いて毎日のリハビリに臨むことができた。それで12年シーズンの序盤に無事復帰できたけど、今度はその秋に練習試合で“自爆”。DFラインの裏に飛んできたボールをクリアして、着地のときに膝を痛めた。右膝の前十字、また同じところをやってしまった。

 二回目はもう…きつかった。復帰した半年後にリハビリ生活に逆戻り。またプレーできないもどかしさと向き合うことになる。直後は心が折れて、サッカーをやめようと思ったほどやったし、リハビリもしたくなかった。少し時間が経っていろんな人と話をしたら徐々に落ち着いて、前向きにさせてもらった。ただ、リハビリにはなかなか気が向かなかった。逃げていたら復帰できへんし、自分の中で葛藤があって、二回目はメンタルの部分で難しかった。

 リハビリ中は「早く復帰してサッカーをしたい」という気持ちが一番の原動力になる。治ってプレーしているイメージを忘れへんこと。俺はもうプロとしてピッチに立っていたので「またここに帰ってきたい」という思いが強くあった。パワーアップして戻ってこようという思いがあればリハビリに向き合える。ケガをしたからマイナスと捉えるのではなく、いかにプラスに変えられるか。ピッチに帰ってこられるような体とメンタルにどう持っていくかが一番大事じゃないかな。

 悩んでいるときはいつも新潟経営大サッカー部の杉山学監督に相談する。二回目のケガ後に相談したときは「ここで終われないだろ」と、プロ経験のある監督にケツを叩いてもらった。もう結婚していたので「家族のためにも頑張れ」と。新潟時代は距離が近くて相談しやすかったけど、大阪に住んでいる今でも大切な相談相手。電話で話すし、大阪や新潟で会う。サッカーのことよりも人間性の部分でアドバイスをくれる。

 気持ちを立て直すためには、客観的に自分を見てくれている人たちのアドバイスは貴重やし、その時期に気付かせてもらうことはいっぱいあると思う。必要以上に気持ちを落とさず、オープンにしておくことでいろんなものが入ってくる。塞ぎこんだらリハビリがより辛くなってしまうし、マイナスにしかならない。ケガで苦しんでいる人は、メンタルを鍛える意識を持って、その期間を力強く乗り越えてほしい。


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