事件が起こったマルタ島

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 長靴の形をしたイタリア半島。その爪先の前にシチリア島。さらにその南100キロに、人口約43万の小国マルタ共和国はある。

 だが、この風光明媚な島国で、女性ジャーナリストのダフネ・カルアナガリチアさん(53)が、車ごと爆殺されるという衝撃的な事件が10月16日にあった。

「ダフネさんは、いわゆる『パナマ文書』を連携して分析、報道する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に参加。マルタ共和国では、ムスカット首相の夫人などがパナマにペーパーカンパニーを作っていたことが判明。ダフネさんは、そこにアゼルバイジャンの金融機関から正体不明の資金が出入りしていたことを暴いたのです」(外信部記者)

 当然、ムスカット首相周辺が疑われるが、そう単純な話でもない。

事件が起こったマルタ島

「ダフネさんのブログ『ランニング・コメンタリー』は、1日に40万ページビューを誇る人気。追及対象も政治家から電子カジノなどの犯罪組織絡みまで多岐にわたるため、目障りに思っていたはずの人間も多いのです」(同)

 それにしても爆弾で暗殺とは、まさに映画「ゴッドファーザー」ばりだ。

「確実で、しかも自分の身は安全で、目撃されることもない。そして、第三者が巻き添えになるのは構わない。そういう手口です」

 と、国際的な組織犯罪などにも詳しい軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は言う。

「マルタもマフィアの地盤である南イタリア文化圏。租税優遇地(オフショア)でもあり、“癖”のある裏に通じた金持ちが国籍を移すところでもありますからね……」

 マルタには、長靴の爪先にあたるカラブリア州を地盤とする伊最大のマフィア「ンドランゲタ」が勢力を伸ばしている。

「週刊新潮」2017年11月2日号 掲載