お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、津々木かなさん(仮名・不動産会社勤務・29歳)からの質問です。

「29歳の会社員です。今年、Instagramのイベント案件をいくつか受けて、謝礼をもらいました。合計で12万円程度です。友達から“10万円以上だと自分で年末調整しないといけないんだよ”と言われたのですが、しないとまずいですか?」

一般のOLさんでも、インスタグラムのフォロワーが多いと、PRのアルバイト的なことを頼まれることが多くなりました。謝礼が現物支給だったりすることも多いですが、現金の場合もありますね。1件の金額は交通費程度でも、1年でみると10万円を超してしまった。そういうときは、申告が必要なんでしょうか。税金が取られちゃうの!?早速、森井じゅんさんに聞いてみましょう。

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会社員が知っておくべき「年末調整」って?

年末調整とはざっくりと言えば、所得税の差額の精算です。つまり、予測をもとに概算で支払ってきた税金と実際の税金額の違いを精算するものなんです。

会社などにお勤めの方は、給与明細書などを思い出してください。「所得税」の名目で、天引きされている金額がありますよね。会社は、月々のお給料から「おおよそこれくらい」と所得税を概算で計算し、天引きして納めてくれているんです。

しかし、概算はあくまでも概算です。実際の所得税は、1年間の収入をベースに様々な状況・事情を考慮した上で計算されます。この概算と実際の税額の差額を調整するのが年末調整です。

年末最後の給料で帳尻を合わせるため、毎月同じお給料でも、12月のお給料は手取りが変わりますよね。通常、概算の方が大きくなることが多いので、年末調整では還付となることが多いです。「12月は手取りが増えて得した、嬉しい〜!」なんて思っている方もいるかもしれません。それは、引かれすぎた税金が戻ってきているのです。

ちゃんと説明できる?「年末調整」と「確定申告」の違い

年末調整も確定申告も個人の所得税に関する手続きです。年末調整は会社がしてくれるもの、確定申告は自分でするもの、という違いがあります。

年末調整は勤め先が税金を計算して、勤め先がまとめて税務署に納めてくれます。一方、確定申告は自分で税金を計算して自分で税金を納めるものです。

年末調整は確定申告の簡便バージョンを個人に代わってやってくれている、と考えてください。

所得にかかる税金は、収入だけでなく、家族構成や保険料の支払いなど様々な個人の状況・事情を考慮して計算します。その状況や事情というのが「控除」として税金計算に反映されます。そして、控除が大きければ大きいほど、税負担は軽くなるんです。

先ほどお伝えしたように、年末調整は確定申告の簡便バージョンです。つまり、年末調整で扱う範囲を超えるものについては、確定申告を行なう必要があります。相談者さんのように、副業で一定以上の収入があるケースや、年末調整では対応してもらえない医療費や寄附金などの控除を受けたい場合にも確定申告は必要になってきます。

確定申告は年末調整の上書きです。控除のために確定申告をするのはもちろん、年末調整に誤りや漏れがあった場合や書類が年末調整に間に合わなかった場合でも、確定申告をすることで税金を精算することができるのです。

10万円以上の副収入は申告しないといけないの?

副収入がある会社員の方で、副収入について確定申告が必要かどうかは、その内容により変わってきます。内容は、正確には「所得の種類」といいます。

相談者さんの副収入のケースでは、「Instagramのイベント案件」ということで臨時的な収入のようですね。アルバイトのような雇用形態でなく、事業規模でない仕事を臨時的に引き受けて報酬をもらったということで「雑所得」にあたると思われます。

雑所得については、収入から経費を引いた金額が年間20万円を超えた場合には確定申告をする必要があります。相談者さんはイベント案件で12万円受け取ったとのことですので、収入12万円から必要経費を引いてもも副収入にかかる所得が20万円を超えてくることはないですね。

つまり、確定申告の必要はありません。

ただし、この場合、注意していただきたい事があります。「確定申告をする必要はない」と「収入としてカウントしない」というのは違います。副収入にかかる20万円以下の所得は、確定申告不要でも収入としてカウントしなくていい、というわけではないのです。

ほかの理由で確定申告を行なう場合には、副収入もすべて申告の対象になります。

たとえば、上で、医療費控除などを受けるためには確定申告が必要になると説明しました。仮に、相談者さんが医療費控除による還付をうけるために確定申告を行なうとします。その場合には、この副収入も含めて申告する必要があるのです。「医療費控除を申告して副業を申告しない」というのでは、還付金を受けとるということはできないのです。

また確定申告が不要であっても、住民税の申告は必要です。住民税の申告については、市区町村に確認してください。

申告しなかったらどうなる?

もし、確定申告しなければいけない人がしなかった場合には、納めなかった税金を納めるのはもちろん、申告をしなかったことに対するペナルティー「無申告加算税」や、納めるべき税金が遅れたことに対する「延滞税」の支払いを求められる可能性があります。くれぐれも注意してくださいね。

確定申告の仕組みがよくわからない……そんなアラサーOLは意外と少なくないのです……。



■賢人のまとめ
副収入は年末調整では対応できません。確定申告です。しかし、確定申告が必要なのは、1年間に副収入による所得が20万円超えた人。12万円であれば、確定申告は必要ありません。ただし、住民税の申告は必要です。行なわないままでいるとペナルティーが課せられる場合もあるので、お住まいの市区町村に確認してください。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。