昨年7月に脱北し、韓国に亡命した北朝鮮元駐英公使のテ・ヨンホ氏が11月1日、米下院外交委員会の公聴会で証言し、金正恩党委員長は在韓米軍を撤退させることを当面の目標とし、核兵器開発を進めていると述べた。

また、中国が脱北者の取締りと強制送還を止めれば大勢の人が本国から逃れ、体制崩壊に結びつくと指摘し、米国政府が中国に脱北者の保護を促すよう求めた。

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命令なくとも反撃

テ氏によれば、金正恩氏は米国が敗退したベトナム戦争の再現を目指している。

米国を攻撃可能な核戦力を整えて圧力をかければ、在韓米軍の撤退も実現可能だと判断。そうなれば北ベトナムに飲み込まれた南ベトナムと同様、韓国を手中にし得ると考えているという。

テ氏は、北朝鮮のこのような強硬路線に対し、米国は「すべての軍事的選択肢を用いる準備がある」という強いメッセージを発する必要性があると主張した。

ただ、米国が実際に軍事行動を起こすべきかどうかについては、慎重な姿勢を見せた。

テ氏は、「軍事境界線に配備された部隊は、砲撃音が聞こえたら通常の命令が無くとも(砲やミサイルの)発射ボタンを押すように訓練されている」と説明。米国が先制攻撃を行えば戦火の拡大は不可避であり、「人命にかかわる甚大な被害を考慮しなければならない」として、軍事行動に移る前にあらゆる非軍事的な努力が尽くされたかどうか再考する必要があると強調した。

蜂起の可能性高まっている

テ氏はまた、北朝鮮社会の内部において、経済のなし崩し的な資本主義化を受けて人々の意識が大きく変化している点に言及した。

テ氏は、取締りの目を逃れて違法に持ち込まれた韓国映画やドラマを見るようになっている国民は、「(世界の中における)自分たちの生活状況の現実を徐々に知り始めている」と説明。かつてに比べ、北朝鮮で国民の蜂起が起きる可能性は高まっていると語った。

加えて、米国政府は上記のような北朝鮮の様々な状況を知るための諜報活動に、「ごくわずかな予算しか割いていない」として「非常に残念である」と述べた。