初めまして。フリーエディター&ライターのフルタアミ、33歳です。

10代、20代と散々遊んだ後の30代は仕事、仕事の毎日。最近になって“30代ホンキの寂しさ”を実感するように。恋愛も本気で頑張らないと!と、幸せに向かって目下奮闘中!

……と、こうなったのには、もちろんワケがあります。最初にそのお話からさせてください。

自分的には格下彼氏だった

私には約2年一緒に時を過ごした彼がいました。通称“ホタテくん”。そう呼んでいたのは、彼が私に最初にプレゼントしたのが“ホタテ”だったから。フリーになりたての頃に仕事がなく、実家に住みながら近所のしがないスナックで働いていた時のお客さんだったのが、このホタテくんです。

私の実家は、都内から少し離れた八王子。仕事も遊びも東京都内がメインワールドだった私にとって、地元での出来事は全て地球の裏側みたいなお話。最初、飲み屋で言い寄ってくる彼は、私の中ではあり得ない存在でした。

「最近(男関係は)どう?」と友だちに聞かれても、ホタテくんレベルじゃ話すことができない。

だって5つも歳下で、八王子の社員10人ぐらいの小さな会社で働いていて、大学も出ていなくて、6畳ぐらいの超絶汚い部屋に住んでいて……。男らしさはあったものの、なんだかものすごい狭い世界で生きている彼のことをどう頑張っても、「彼氏候補」として、オフィシャル化することができなかったんです。

そんな彼の出身は北海道。地元産の新鮮なホタテをどうしても私に食べて欲しいと贈られた日には、友人に話しましたよね。笑いのネタとして。もちろん“私は全然相手にしてないんだけどね”っていう注釈付き。

でも、このホタテくんが驚くほど熱心にアタックしてくれて。いつのまにか根負けしてしまい、一緒にいる時間が徐々に増えていったんです。今思うと仕事がなくて、ネガティブオーラー満タンだった私にとって、好き、好き言ってくれることが癒しにつながっていたのかもしれません。

「アミとずっと一緒にいたい」

ホタテくんは、そう口癖のように言っていて、いつも私を喜ばせようと必死でした。仕事が忙しくなってからは、私の体調を心配して1日に何度も電話をくれたり、落ち込んでいたら一所懸命励ましてくれたり、週末は私の疲れを取りに行こうと温泉に連れていってくれたり、わがままもたくさん聞いてくれました。デート中にお店で電話やパソコンを取り出して1時間ほど無心で仕事をしても怒ることなく、”とにかく私を好きでいてくれてる“。それがホタテくんでした。

デート代やプレゼント代や旅行代などを無理しているのも、心の奥底ではわかっていました。彼と出会ったとき、私は飲み屋の女だったし、昔は散々派手に遊んでいた話も正直にしていたから、見栄を張っている姿も、「無理しないで」と思いつつ、純粋に嬉しいなぁと思っていました。

仕事がかなり忙しくなっていたこともあり、だんだんと心の支えになっていったホタテくん。最初は認めたくなかったけれど、「仕事辛いし、今は甘えてしまえばいいか」「とりあえずあと少し……」が数か月続いて、結局は彼とちゃんと付き合うことになったんです。

結婚も考えてくれていたようだし、私も結婚を想像しなかったわけではありません。金持ちやエリートばかり追いかけていた過去の自分を「悪」とし、「今、私は本当の恋愛に出合うことができた」と美談にまとめ上げようとしていました。

……だけど、やっぱり無理だったんです。

付き合ってしまえば、釣った魚にエサはいらない

2年も経てば、愛情は変わらずとも彼の態度は変化してました。

「アミの仕事が忙しくて大変そうで心配だから、一緒に住もう。俺と住めば少し仕事減らせて楽になるだろ? 場所も都心にすれば仕事しやすいだろ?」

そんな初期の発言は、

「都心に俺が住むメリットが見当たらない。仕事場所も遠くなって朝大変だし、お金も余計にかかる。俺の家(八王子)の方だったらいいよ」に変わり、

それならば、と八王子付近で家を探してみたのだけど「2LDKもいらなくない?俺、部屋なくていいし」「え、でも私はお互い独立した部屋がいい」と今度は間取りのことで喧嘩になり、一緒に住む話はうやむやに。

浮気の疑いや連絡が取れなくなる、気持ちが離れている、といった類の大きな不安はなかったけれど、その代わりに積もっていったのがイライラのチリ。

別れる半年前ぐらいのこと。同棲の話はもう自然消滅していたので、私はひとりで目黒区に引っ越しをしていました。

そこに彼は当たり前のように遊びに来て、当たり前のように冷蔵庫から飲み物をとって飲み、「暑いなこの部屋」と当たり前のように文句を言い、そして私の家のベッドにだらしなく横たわりながら、当たり前のように「おい、お前」と呼ぶ……。

ホタテくんのある一言に、ブチ切れる

あるときホタテくんから聞かれたのが

「ここ、家賃いくら?」

「12万だけど……」

そう答えた私に

「家賃にそんなにお金かけて、バカらしくない?」

とひとこと言い放ったんです。

フリーランスでがむしゃらに仕事をしてきて、これからも頑張ろうと思い切って借りた部屋。同棲の話をうやむやにしたくせして、図々しく家に来て、電気や水道を使っておいて、ゴロンと寝そべってそんなことをいう男を本気で憎たらしく思いました。

思ったのはこう。

「甲斐性なし」

正直に言えば、彼は足りないものが多すぎた。お金も肩書きも学歴も知性も常識も品性も……。

やっぱり友達に紹介できない男はダメだ!

30歳を過ぎたあたりから、スペック重視で男性を判断するのはやめようやめようとモヤモヤし続けてきたけれど……。とはいえバランスってものがある。自分が求めているところから、これだけ足りないものが多すぎると、そりゃ合わないわけですよね。

初期の“直感”ってやっぱり正しい。「この人はないな〜」っていう気持ちやちょっとした違和感は、目をそらそうとしても結局浮き彫りになってくる。私の場合「彼氏候補」として友だちにも話せない時点で、もう最初から終わっていたようなものだったんです。

彼との未来はないな……と悟った私。それでも別れるまで1か月ぐらいは、ダラダラと悩んでいたんです。今までいた人がいなくなるのは、心の拠り所がなくなるし、さみしいのではないだろうか、と。

でも、そんな私がしっかり“決断できた”のはある事件が起こったからでした……。〜その2〜に続きます。

北海道のホタテは美味しかった……、確かにあれは美味しかった。食べ物で釣るというのは、ある意味正しい。