鍵を挿入すると認識され、作成が開始する

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 昨今、AI化やIoT化が叫ばれて久しい。我々の生活をより豊かなものにするべく、多種多様な企業が業界の垣根を越え、日常のありとあらゆるモノをインターネットで繋げようとしている。しかし、こうした急速な「近未来」への動きに、消費者の知識が追い付いていなかったり、現今のニーズが置き去りにされていたりしていると感じることもしばしばだ。

 そんな中、「アナログ」と「超デジタル」の隙間をついたサービスを展開し、急成長を遂げているアメリカのベンチャー企業がある。それが合鍵作製の自動販売機型キオスクを運営する「KeyMe」だ。

◆いつでも合鍵作成、登録すれば指紋でも

 生体認証型ロックの開発が脚光を浴びる一方、世間一般がカバンにしのばせているのは、依然として“鍵型の鍵”。そんな時代と時代のニッチ(隙間)に需要を見込んだ同社は、2012年から「鍵の自動販売機」とIoTを組み合わせたサービスを勢い強く売り出しており、アメリカの各有力紙からも度々そのアイデアが絶賛されている。

 この「KeyMe」が展開する、キオスク型自動販売機(以下「自販機」)には、大きく分けて2つの特徴がある。

 1つは、自分で合鍵が作れることだ。

 たまたま自分用とドアマン用の合鍵を作らねばならなかった筆者は、自宅近くで見つけた自販機で作製してみることにした。

 複製したい鍵を挿入口に差し込み、購入本数を選択。安い真鍮製のものだと1本3ドル(約340円)程度で作製が可能だ。柄や模様が付いたもの、さらには持ち手部分が栓抜きになっている鍵などもあった。

 余談だが、「2本買うと1本無料」という、アメリカでは大定番の売り込み方法が合鍵業界にも存在することに苦笑いすると、なぜかあいにくその余計な1本を“渡せる相手”がいないことを思い知らされ、人知れず一時打ちひしがれる。

 クレジットカードを通すと、大きな音とともに合鍵の作製がスタート。その間、メールアドレスの入力や指紋認証をして待つのだが、時間にしてわずか1本30秒弱。あっという間に合鍵ができあがった。

 あまりの容易さゆえ不安になり、自宅へ戻ってすぐに作動確認したが、鍵は鍵穴につかえることもなくしっかり挿入でき、ドアも問題なく開いた。

 しかし、この自販機がすごいのは、「セルフサービスの合鍵作製」機能ではない。2つ目の特徴として挙げられる「アナログ鍵のIoT化」にこそ、この機械の存在意義がある。

 方法は2通り。自販機に鍵と指紋を登録しておくか、スマートフォンのカメラで撮影した鍵を、専用のアプリに保存しておく。そうすることで、万が一鍵をなくしたり、屋内への鍵の閉じ込め、いわゆる「インロック」をしてしまったりした場合でも、最寄りの自販機で指紋認証やメールアドレスの入力をすれば、すぐに合鍵が作れるのだ。

 このアプリに鍵を登録しておくと、例えばスマートフォンや財布を持たずに「手ぶらでインロック」してしまっても、指紋1つで合鍵が作れる。また、家族やルームメイトなど、信頼できる人同士で同じ鍵をアプリ上でシェアすることもできるため、同居人の誰かが鍵をなくした時や、出張先から誰かに家へ入ってもらわねばならない用事ができた時などにも簡単に合鍵を渡すことができる。

 通常、緊急で「鍵屋」を呼び、開錠を依頼した場合、ニューヨークだと平均200ドル(約22,600円)ほどかかるが、このアプリ経由での合鍵を作製した場合、なんと20ドル(約2,260円)程度で済む。アプリへの鍵の登録は何本でも無料だ。

◆クラウド上で、鍵と個人情報はリンクされない

 このサービスには、最近世界中で流行りつつあるAirbnb(エアービーアンドビー)やCouchsurfing(カウチサーフィン)などといった民宿業界も熱い視線を注いでいる。