おとなの週末で人気連載の呼び声高い、東西うまいもの対決風?コラム『[東]マッキー牧元 ×[西]門上武司の往復書簡』。その気になる今回のお題は、誰もが愛して止まない懐かしの味わい〈ナポリタン〉。いずれ劣らぬ自慢の味、いざこれに見参!

今回のお題【ナポリタン】

ナポリタン対決 東/レストラン香味屋 vs. 西/BISTROあじと

【東】マッキー牧元 レストラン 香味屋の「ナポリタン」

拝啓 門上様、ナポリタンは、我々のアイドルですね。なにせ、「生まれた時からアルデンテ」ではない我々の世代にとって、スパゲッティという未知の世界と出会ったのが、ナポリタンですから。 
 その王道は、麺が太く柔らかい。具はハムにピーマン、マッシュルームが基本です。よく加熱されて丸くなったケチャップが、満遍なく麺に絡み、楕円のアルマイト皿に盛られている。そう信じて生きてきましたが、最近は少し豪華になって、なかなかそういう店が少なくなりました。
 老舗洋食屋『香味屋(かみや)』のナポリタンを選んだのは、下品と上品がない混ぜになった味だからです。 
 中細麺に絡んだ味は、ケチャップの甘みが広がるけど、決してくどくない。優しい味わいで心が温まる。たっぷり入った厚切りのマッシュルーム、極細ピーマン、薄切りの玉ねぎ、そして通常メニューでは上等なエビが入っていますが、今回はハムに変えていただきました。
 丁寧な仕事が光るその味には、ナポリタンがご馳走だった時代の輝きを感じます。その上品を、タバスコやチーズで少しずつ下品にしていく。その行為がまた、この料理の魅力だと思うのです。

かつて“ご馳走”に君臨していた頃の威厳と品格を偲ばせる美しきナポリタン

▲ナポリタン 1750円
創業時よりあるメニュー。現在はエビを具材としているが、その昔は今回同様ハムだったとか。「ハムステーキと呼びたくなるほど立派な角切りのハムは、懐かしい味わいながら、まさしくレストランの風格を思わせる味」(牧)

レストラン 香味屋
東京都台東区根岸3-18-18 [TEL]03-3873-2116 [営]11時半〜21時(20時半LO) [休]無休 [席]1階 テーブル席34席、2階 テーブル席54席/カード可/予約可/サなし [交]地下鉄日比谷線入谷駅4番出口から徒歩3分 *ナポリタンの具材はハムに変更も可能。但しあらかじめ電話で予約をするのがおすすめ。

【西】門上武司 BISTRO あじとの「鉄板 de ナポリタン」

 牧元さん、秋の風ですね。お元気ですか?
 今回は日本の生まれのイタリアン。そう、ナポリタンと参ります。基本はケチャップで味付けされたスパゲッティ。ピーマン、タマネギなどの野菜と、ベーコンもしくはウインナーソーセージが入る献立です。僕には大事なことがあります。フライパンで”焼く”という仕事が欠かせません。だから、スパゲッティがところどころ焦げ目がついてカリッとした食感を残す。これがナポリタンの重要なポイントなんです。
 大阪ミナミ・ウラなんばと呼ばれる界隈にある『ビストロあじと』の「鉄板deナポリタン」は種々の条件を満たしたナポリタン。シェフの澤田 正さんが「この店をやるときに鉄板にのせて出すナポリタンをやりたかったんです」と満面の笑顔で話してくれました。テーブルに届いたときにはじゅ〜という音がします。しっかり振られた粉チーズのコクがスパゲッティに絡み、最初からインパクトのある味わいです。食べ進むにつれタマネギやピーマンなどの甘みなどが加わり、また焦げたスパゲッテイの歯ごたえもたまりません。牧元さん、ウラなんば探索に大阪遠征いかがですか?

“焼き”の仕事が重要なポイント。この熱々、ジュ〜ジュ〜がウラなんばを沸かせている!

▲鉄板 de ナポリタン 680円
「2種類のケチャップとデミグラスソースを合わせたソース。フレンチを学んだシェフの技が光ります。ソースと具材のバランスが見事。ひと口ずつ味わいが微妙に変化してゆくのが、すごく楽しいナポリタンといえるでしょう」 (門)

BISTRO あじと
大阪市中央区難波千日前15-4 つるや陶器店ビル2階 [TEL]06-6633-1577(予約専用090-3464-1577)[営]11時半〜14時半、17時〜23時半 [休]月、不定休 [席]テーブル席36席、カウンター席5席/カード可(ディナーのみ)/予約可(ディナーのみ)/サなし、ディナーのみチャージあり300円 [交]南海線、地下鉄、JR各線なんば駅なんばなんなんE-9出口から徒歩2分

プロフィール

【東】
マッキー牧元/タベアルキストを自称して早30年、ひたすら美味しいものを食べ歩き、それを生業とすべく、各誌への寄稿に励むコラムニスト。東の食雑誌『味の手帖』編集主幹でもある。

【西】
門上武司/小誌でもおなじみの、あらゆる食情報に精通している西のグルメ王。食関連の執筆・編集を中心に、各メディアに露出多数。関西の食雑誌『あまから手帖』の編集顧問も務める。

2015年10月号発売時点の情報です。