首相官邸HPより

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 選挙が終わるや否や、これである。本日、文科省の大学設置審議会が判断を保留してきた加計学園の獣医学部新設について課題に改善が見られると評価し、10日の答申において来年4月開学で認可される見通しだといっせいに報道されたのだ。

 しかし、驚きはまったくない。認可が下りることは最初から既定路線だったからだ。あらためて、疑惑の発端となった内部文書と、昨年10月21日に当時の官房副長官である萩生田光一氏が文科省の常盤豊高等教育局長に伝えた内容がまとめられた文面を確認したい。

「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」
「(設置の時期は)これは総理のご意向だと聞いている」
「総理は『平成30(2018)年4月開学』とおしりを切っていた。工期は24ヶ月でやる。今年(2016年)11月には方針を決めたいとのことだった」

 これらの内部文書が作成されたのは、加計学園が今年3月に文科省に開学を申請する以前のことであり、設置審が検討に入るずっと前から2018年開学は決定していたことを示している。

 つまり、この期に及んでも、すべては「総理のご意向」通りに、「加計ありき」で進んでいるのである。今回の選挙にしても、選挙後に答申発表となるように日程が組まれたことは想像に難くない。

 しかし、安倍首相に向けられている疑惑は、いまだ何ひとつ晴れてはいないのだ。

●安倍首相「プロセスに一点の曇りもない」は大嘘、議事録は改竄されていた

 まず、今治市と愛媛県が国家戦略特区に獣医学部新設を提案する2カ月も前に今治市の職員と加計学園の事務局長が官邸で安倍首相に近い柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と対面していた事実を皮切りに、文科省の事務次官だった前川喜平氏に対して和泉洋人首相補佐官が獣医学部新設の対応を急ぐことを要請した際に「総理が自分の口から言えないから私が代わって言う」と述べたことや、やはり前川氏に内閣官房参与で加計学園理事の木曽功氏が「早く進めてほしい」と"圧力"をかけていたことなど、安倍首相の意向のもと、官邸が獣医学部新設に向けて積極的に関与してきたことは明々白々だ。

 だが、これらの疑惑に対して、安倍首相は「岩盤規制にドリルで穴を開けた」という、何も説明になっていない台詞を繰り返すばかり。逆に、加戸守行・前愛媛県知事や国家戦略特区ワーキンググループ座長の八田達夫氏の証言が報道されていなかったとメディア批判に矛先を向け、「国会審議をすべて見た人は納得した人も多かったのではないか」などと宣っている。

 しかし、本サイトでは何度も指摘してきたが、いま問題となっているのは「国家戦略特区において獣医学部新設が加計学園に選ばれた、その決定にかかるプロセスの不透明さ」であって、現役官僚だった前川氏とは違って加戸氏はそうしたプロセスにまったくタッチしていない。いくら加戸前知事が「歪められてきた行政が正された」と主張しても、そもそも加戸氏は「行政が歪められたのか否か」など知る由もない立場なのだ。

 その上、安倍首相や八田氏は、議事録はオープンになっていると強調し「プロセスに一点の曇りもない」と断言してきたが、これもすでに大嘘だったことが発覚。2016年6月に国家戦略特区ワーキンググループが愛媛県と今治市からヒアリングをおこなった際には加計学園の幹部3名が同席していたにもかかわらず公開されている議事要旨にそのことが伏せられており、発言内容を一部削除することで発言主旨を真逆に書き換えるという議事録の改竄までおこなわれていたことまで判明しているのだ。

●国会開催要求無視、突然の解散、野党の質問時間削減...追及から逃げまくる安倍首相

 しかも問題は、このように雪だるま式に膨らんでいく「加計ありき」への疑惑だけではない。加計学園の獣医学部が新設される今治市のキャンパスについては、病原体を封じ込めることができないのではないかという疑問が噴出し、高病原性鳥インフルエンザの検査や実験・研究をおこなうのは難しいという見方も出ている。さらに、加計学園が高額な補助金を得るために建設費を水増ししているのではないかという疑惑までもち上がっているのである。

 こうしたさまざまな角度から不正の疑いがありながら、安倍首相は野党からの臨時国会招集要求を3カ月も無視し続け、ようやく国会を開いたと思ったら冒頭解散するという解散権の濫用によって追及から逃亡。挙げ句、「丁寧に説明する」と言いながら昨日からはじまった特別国会では当初、質疑に応じない姿勢まで見せた。この態度が反感を買ったことで、結局、国会を12月9日まで開くことにしたが、実際は安倍首相にはトランプ大統領の来日や外遊日程が詰め込まれており、所信表明演説は今月17日。実質審議はたったの1週間程度しかないのではという見方も広まっている。

 そして、安倍首相はついには、議院内閣制を完全に無視して野党の質問時間を削減するとまで言い出した。この暴挙もまた、森友・加計学園の追及を受けたくないという理由であることは明らかだ。

 だが、繰り返すが、これだけの大問題になりながらも、2018年4月開学という「総理のご意向」は、今回の設置審判断によって完遂されたのである。国民からあがる疑問の声には耳も傾けず、いまなお、安倍首相はお友だちしか見ていないのだ。

 森友・加計問題がこのまま有耶無耶になれば、安倍首相による政治の私物化を許したことになる。これは異常なことだという民意をいまこそ叩きつけなければならないだろう。
(編集部)