米アマゾン・ドットコムは11月1日、年末セールの開始を告知するとともに、AR(augmented reality、拡張現実)を使ったショッピング機能「AR view」を利用できるようにすると、発表した。

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買う前に商品の立体画像を自宅に配置

 これは、米アップルの「iPhone」用のアマゾンアプリで提供するものだ。顧客は、アプリ内にあるカメラアイコンをタップし、続けて「AR view」アイコンをタップする。

 すると、アマゾンで販売されているさまざまな商品の画像が表示される。そのうちの1つをタップすると、その商品が、カメラによって映し出される顧客自宅内の画像に重ねて表示される。

 これらの商品画像は、画面に写る室内風景に合わせてサイズ調整される。そのため、あたかも商品がそこにあるかのように見える。例えば、テーブルや椅子などの家具を置きたい場所に配置して、サイズや見栄えをチェックすることができる。

 また画像は3Dで表示され、指で自由に向きを変えることができる。カメラ(スマートフォン)の角度や前後の位置を変えて、さまざまな方向、距離から見ることも可能だ。

 アマゾンは、このアプリの動画をYouTubeで公開している。花瓶やスピーカーをキャビネットに配置したり、鍋をキッチンテーブルに置いたり、同社のAIアシスタント機器を出窓棚に置いたりして、見栄えを確認する様子が映っている。

アップルの「ARKit」

 アマゾンによると、当初この機能は、iPhone向けアプリのみで提供するが、グーグルのAndroid向けも、まもなく用意するという。

 前述したとおり、現実の風景にデジタル情報を重ね合わせて表示する、こうした技術はARと呼ばれる。アップルは今秋提供を開始した、モバイルOS(基本ソフト)「iOS 11」で、AR用アプリの開発を支援する「ARKit」を導入した。

 これにより開発者は、iPhoneなどのiOS端末に搭載される、さまざまな電子部品と連携するARアプリを、容易に作れるようになった。アマゾンのAR viewも、このARKitを利用している。このため対応するiPhoneは、iPhone 6Sシリーズ以降のモデルとなる。

 なお、アマゾンは同日、カナダでも年末セールを開始すると発表したが、その広報資料に、このAR viewのことは書かれていない。このARショッピング機能をできるのは、今のところ米国だけのようだ。

eコマースにとっての障壁

 米マックルーマーズによると、スウェーデンの家具小売り大手、イケア(IKEA)も、アマゾンに先立ち「IKEA Place」と呼ぶiOS 11用VRアプリを公開した。

 家具などの大型商品は、衣料品同様に、実物を見てから購入するというのが、これまでのスタイルで、eコマースには不向きだと言われてきた。そうした中、アマゾンは今年6月、衣料品を自宅で試着できる「Prime Wardrobe(プライム・ワードローブ)」と呼ぶサービスを米国開始。同社はこうして、eコマースにとって障壁となるさまざまな問題の解消に取り組んでいる。

(参考・関連記事)「アマゾン、無料返品できるアパレル商品のネット販売」

筆者:小久保 重信