福井県から京都まで続く「若狭街道」は、古代から朝廷に食材を届けるための道として、多くの行商人たちが行き来した古道。

荷のなかには、若狭湾で水揚げされた鯖が多かったことから、いつしか「鯖街道」と呼ばれるようになったことでも知られています。

日本海の幸を京都へ運ぶ
かつての「流通網」が生んだ味

ご存知のとおり、鯖は足が早い食材。

そのため、若狭湾で採れた鯖を京都へ届けるために塩を振って保存性を高めるのですが、京都へ着いた頃にちょうど良い塩梅の「塩鯖」になっていたと言われています。

とくに冬の針畑峠を越えて運ばれた鯖は寒さと塩で身が締まり、京の美食家たちの舌を楽しませてきました。

1000年の伝統は
和洋中を問わない

福井では、塩鯖のほかにも採れたての鯖を浜辺で焼き上げた「浜焼き鯖」や「酢じめ」など、日持ちをさせるために数多くの調理法が編み出されてきましたが、そのなかでも最も賞味期限が長く、いわば鯖の漬物と言える存在が、この「へしこ」。

鯖を塩漬けにした後に1年以上も糠漬けしたもので、古くは鎌倉時代にまで遡る伝統食品です。

酒の肴としてはもちろん、長期保存できる貴重なたんぱく源として、ご飯のお供にも愛されてきた「へしこ」。そのまま薄くスライスして食べたり、米糠を少し落としてから焼いたり、熱いお茶をかけて薬味をのせてお茶漬けにしたり、というのが定番レシピ。

ほかにも、和風のアンチョビとも言える風味のため、パスタやチャーハンなどの料理にもアレンジできる懐の広さも魅力です。1000年近い歴史を誇る、伝統食品のへしこ。あなたならどう食べる?

購入は、天たつより。

Photo by Takeshi Kimura