<過激派を撲滅して外国投資を呼び込みたい――でも相変わらずの人権侵害で改革の本気度には疑問符が>

テロリストとのつながりや人権抑圧国家のそしりを免れない中東の石油大国サウジアラビア。しかし32歳にして事実上の国家指導者であるムハンマド皇太子が、国内の過激主義を撲滅して「穏健派イスラム」に回帰すると宣言した。

ムハンマドは10月24日、世界各国の有力実業家を集めた経済フォーラムで、最先端技術を生かした人工都市の建設計画を発表するとともに、自らが思い描く新生サウジアラビアについて語った。建国以来、この国は厳格なイスラム復古主義を取るスンニ派の一派、ワッハーブ派の絶対王政により統治されてきた。彼は時期を待たず、保守的なサウジアラビアを速やかに現代的な国へ変貌させたいという。

「過激主義との闘いでこれからの30年を無駄遣いしない。今すぐに撲滅する」と、ムハンマドは断言する。「私たちはこの国の宗教と伝統が寛容につながるような、普通の人生を歩みたい。世界の国々と共存して世界の発展の一翼を担えるように」

この発言は、石油産業に依存しない「脱石油時代」に備え、経済を多様化させながら外国と新たな協調関係を結ぶという構想の中で語られた。その目的を達成する上で、現代的で穏健な国というイメージは役に立つと専門家らは指摘する。

「混迷と紛争に満ちた地域で、サウジアラビアは多くの難題に直面している。経済改革には社会改革が伴わなければ十分ではない」と、中東問題研究所(ワシントン)のイブラヒム・アル・アッシルは言う。

反体制派の逮捕は続く

アルカイダやISIS(自称イスラム国)のような過激派テロ組織は、ワッハーブ主義に触発されている。サウジアラビアはワッハーブ主義を輸出して、こうした急進勢力の台頭を促進したと非難されてきた。今回のムハンマドの発言は、そんな状況を変えたいという強いメッセージだ。

政府は最近、女性に自動車の運転を認めることを発表。国営石油会社を上場して民間投資家に一部開放することも明らかにした。欧米諸国に好印象を与え、外国から駐在員や投資家を呼び寄せるためだろう。

クリスティナ・マザ