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日本政府の働き方改革実現会議は、経済社会の足踏み状態を改善するため、働く人の処遇改善や時間や場所といった制約の克服、キャリア構築を可能にする社会変革をうながす取り組みだ。そのなかで、"いつ・どこでも働ける"環境を実現するのが米国発の「テレワーク」である。

1970年代の米国カリフォルニア州ロサンゼルスは、盆地とサンフェルナンドバレーと呼ばれる渓谷の影響を受け、スモッグによる大気汚染が問題視されていた。そのため当時の人々は、会社へ通勤せずに離れた場所(Tele)で働く(Work)スタイルを選択した。これがテレワークの始まりと言われる。ただし、当時はICT技術の進歩も乏しく、当初はTelecommuting(テレコミューティング: 在宅勤務)という呼称を用いていたが、自然とテレワークという単語が定着した。初出については1972年のワシントンポストに掲載された記事という意見など諸説がある。

国内に目を向けると、1991年に日本サテライトオフィス協会(現・日本テレワーク協会)が設立されているが、その背景にはバブルに伴うオフィスコストの増加があった。一部の企業は郊外型サテライトオフィスを設置したものの、バブル崩壊と共に大半が閉鎖されたという。現在のようにテレワークがビジネスの現場で利用可能になったのは、ネットワーク基盤の拡充と、スマートフォンやタブレットに代表されるデバイスの普及が大きい。総務省の平成28年 通信利用動向調査によれば、2016年時点でテレワーク導入企業の割合は13.3%。移動平均を踏まえると過去2年間から増加傾向にある。利用形態も全体の63.7%がモバイルワークを活用し、生産性の向上や移動時間の短縮などを実現してきた。

このテレワークを支えるのがIT技術だ。VoIPやビデオ会議といったコミュニケーションツールや、情報共有に用いるグループウェア、セキュリティを担保するためのVPN(仮想プライベートネットワーク)など、さまざまなツールや技術が用いられている。そのため、IT企業各社は自社ブランドの向上や、自社製品の普及を主な目的として、テレワーク空間の用意や製品の無償供与など多角的なアプローチを重ねてきた。

テレワーク導入に消極的な企業は、「情報漏洩(えい)が不安」「業務進行が難しい」「導入する利点が理解できない」「社内コミュニケーションに支障が生じる」といった意見を持っている。だが、テレワークを実施することで、コミュニケーションツールの利用機会が増加しコスト削減につながる例も少なくない。例えばOffice 365 Enterpriseの「Microsoft MyAnalytics」を使えば、送受信したメールや会議情報などを元に作業時間や人と人の関係性を可視化し、利用者に作業内容を見直すような洞察を得られる。日本マイクロソフトの検証結果では、約7億円分の残業時間削減に成功したという(4部門40名程度の検証を4カ月間実施。それを同社社員数に換算した金額)。社員満足度の向上やコスト削減につながるテレワークは、導入検討を行う価値がある。

阿久津良和(Cactus)