アストロズのユリエスキ・グリエル【写真:Getty Images】

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人種差別騒動のグリエルが第1打席で“ヘルメット脱ぎ謝罪”…ファンは未だ賛否

 米大リーグのワールドシリーズ第7戦は1日(日本時間2日)、アストロズが5-1でドジャースを下し、初の世界一に輝いた。先発したドジャース・ダルビッシュ有投手に対し、第3戦で人種差別行為で波紋を呼んだアストロズのユリエスキ・グリエル内野手が初回の第1打席でヘルメットを取って謝意を示した。来季開幕から5試合出場停止となった行為の“謝罪”の瞬間を米「FOX Deportes」公式インスタグラムが動画付きで紹介。ファンから未だ賛否の声が上がるなど、話題を呼んでいる。

 2人が対峙したのは初回2死無走者の場面だった。本拠地のドジャースファンからブーイングが送られる中、グリエルは右打席に入ると、ダルビッシュに対し、右手でヘルメットを取った。特徴的な髪形をあらわにすると、マウンド上の右腕を見つめ、頭を下げた。騒動となってしまった行為への謝意を示していた。

 DeNAにも在籍したグリエルは第3戦でダルビッシュから本塁打を放った際、ベンチに戻ってチームメートと喜びを表現する中でアジア人を差別する仕草とされる、両目尻を吊り上げるようなポーズを取った。これが問題視され、来季開幕から5試合出場停止処分が決定。ドジャースの本拠地で行われた第6戦でも打席に立つたびにブーイングが沸き起こっていた。

 一連の模様を米「FOX Deportes」は公式インスタグラムに「グリエルからダルビッシュへ。#RESPECT」と題し、動画付きで紹介。すると、ファンからはさまざまな声が聞かれた。

反応さまざま「ジェントルマンだ」「大一番で簡単じゃない」「やはり愚かなことだ」

「ジェントルマンだ」「拍手」「過ちをするのが人間だ。しかし、過ちを認め正すことが賢明な人間なのさ」「美しいシーンだった。これで心からワールドシリーズを楽しめる」「この大一番でこういった振る舞いを行うのは簡単じゃない」などと称賛の声が上がる一方、まだ許されるべきではないとの意見も上がっている。

「謝罪を無理にさせられているようにしか見えないぞ」「私には彼が心から謝罪しているようには映らない」「やはり愚かなことだ」「彼は心の中でこう言っているように見えるぞ。『俺はこのようにしなければならないことに納得いってないが、周りがうるさいからな』」と厳しく指摘するファンもいた。

 ファンのみならず、現地メディアでも主要紙「ワシントン・ポスト」は「ユリ・グリエルがドジャースのユウ・ダルビッシュに対し、融和的なジェスチャーとしてヘルメットを取る」と報じ、地元紙「ニューヨーク・ポスト」、スポーツ専門局「ESPN」など大手メディアも取り上げ、アストロズの悲願の世界一の裏で脚光を浴びてしまっていた。

 しかし、ダルビッシュは騒動後から「怒りに集中するより前進しましょう」という姿勢を示し、この日のマウンドに集中していた。それだけに、結果は2回途中4失点でKOされたことが、右腕にとっては悔やまれるものになった。