トランプ大統領は8日に韓国の国会で演説する=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】トランプ米大統領の韓中日3カ国を含む初のアジア歴訪は、北朝鮮の核・ミサイル能力がほぼ完成段階に差し掛かり緊張が高まっている朝鮮半島情勢の行方を占う重大な分水嶺(れい)になる見通しだ。

 弾道ミサイルの発射を繰り返していた北朝鮮が現在まで1カ月半以上、挑発を控えていることから、韓国政府はトランプ氏のアジア訪問を機に朝鮮半島を巡る緊張が和らぎ、対話に向けた機運が高まることを期待している。この期待が現実のものとなるには、韓米、米中首脳間の緊密な調整はもちろん、北朝鮮の態度変化も欠かせない。

 トランプ氏の歴訪中には日米、韓米、米中の首脳会談、同氏の韓国国会演説など、北東アジアの外交・安全保障に多大な影響を与え得るビッグイベントがめじろ押しだ。

 特に、8日に予定された国会演説でトランプ氏が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を何と呼ぶのか、北朝鮮への軍事的選択肢に言及するのか、そして北朝鮮に対しどういう内容、レベルのメッセージを発するのかに関心が集中している。

 トランプ氏は9月の国連総会の一般討論演説で金委員長を「ロケットマン」と呼び、米国や同盟国の防衛を迫られれば「北朝鮮を完全に破壊するしか選択肢がなくなる」と警告。これが北朝鮮の強い反発を招き、朝鮮半島情勢は一段と緊迫化した。

 韓国と米国はトランプ氏の演説内容を事前にある程度調整するとみられるが、発言のトーンが韓国の望む範囲に収まるかどうかは分からない。

 ただ、米国は南北軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)のトランプ氏の視察をスケジュール上の理由で見送っており、一部では北朝鮮を刺激するのを避けたとの見方も出ている。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とトランプ氏はソウルでの首脳会談で、北朝鮮核問題をどう解決に導くかについて両国が立場を同じくしていることを改めて確認すると予想される。

 韓米は北朝鮮核問題の解決に向け、最大の圧力をかけて北朝鮮を非核化のための対話に引き込むという大枠の方向性では一致している。だが、韓国が「戦争があってはならない」との立場を貫いている一方、米国からは「軍事的選択肢も排除しない」という趣旨の発言も聞こえ、時として温度差が感じられる。

 韓国外交部傘下・国立外交院のキム・ヒョンウク教授は「トランプ大統領が『最大の圧力』に言及すると同時に『米国に戦争の意思はなく、緊張が高まることを望まない』という平和のメッセージを伝えれば、韓米間の不協和音に対する懸念は解消されるだろう」と話している。

 トランプ氏と中国の習近平国家主席の首脳会談でも、北朝鮮核問題が主要議題として扱われる見通しだ。トランプ氏は中国を通じた北朝鮮への圧力強化を狙っており、10月の共産党大会を経て政権2期目の体制を固めた習氏がこれにどの程度協力的な姿勢を見せるかが注目される。

 北朝鮮はトランプ氏がアジア歴訪中に発するメッセージや韓米首脳会談、米中首脳会談の結果を見極めた上で今後の出方を決める可能性が高い。

 一部では、トランプ氏が歴訪中に北朝鮮を刺激する発言を控え、北朝鮮も挑発を自制したまま来年2月の平昌冬季五輪に参加すれば、朝鮮半島を取り巻く雰囲気は大きく変わるという期待交じりの観測もある。

 だが逆に、北朝鮮がトランプ氏の歴訪を前後し、この間控えていた挑発に踏み切ることも懸念されている。金正恩委員長はトランプ氏の国連演説を受け9月21日に自ら発表した声明で「過去最高の超強硬対応措置の断行を慎重に検討する」と威嚇したが、挑発の効果を最大限に高めるためトランプ氏の歴訪期間を実行日に選ぶ可能性があるということだ。

 韓国政府の関係者は「北がどう出てくるのか全く見当がつかないが、われわれは朝鮮半島の平和のためあらゆる努力を尽くす」と話している。