ロックバンドのLACCO TOWERが10月28日に、Zepp DiverCity Tokyoでワンマンライブ『LACCO TOWERワンマンツアー「遥なる軌跡」〜遥なるフィナーレ〜』最終公演を開催した。8月にリリースされたニューアルバム『遥』のリリースツアーのファイナルで、未発表曲「花束」を含む全20曲を披露。アルバムで掲示した、新たな彼らのスタイルをライブでも自然に体現した公演となった。【取材=桂 伸也】

新しい何かを感じさせるステージ

(撮影=Masanori Fujikawa)

 LACCO TOWERとしては初となるZepp DiverCity Tokyoでのワンマンライブだが、リーダーの塩崎啓示(Ba)は、所属していた前身バンドが2001年に初ライブとして系列のライブハウスであるZepp Tokyoでライブをおこなったことを明かしていた。この日のライブでは、そのことにも触れ、その時ステージをともにしていたという重田雅俊(Dr)とともに、感慨深いステージとなったことを語った。彼らが今年LACCO TOWERとして活動15周年を迎えたことも、その思いを後押ししたことは、想像に難くない。そんな彼らを祝福するように、フロアには、この日も彼らのライブを待ち望んでいた観客が集い、寒さを帯びてきたこの季節の寂しさを吹き飛ばすような熱気で会場を満たした。

 初めてのステージ、感慨深いステージ。しかし、彼らのこの日のプレイは、ある視点からは“いつもの彼ら”だった。これまで黒を基調としたスタイルで登場していた彼らが、このツアーではそのイメージをガラッと変え、皆白を基調としたスタイルに。だが、それ以外はいつものように、SEの音楽とともに彼らは登場。最後に白いシャツを着た松川ケイスケ(Vo)が登場、両腕を広げ一礼をし、ステージはスタートした。だが、そのことも何故か新鮮に見えてくる。

 8月におこなった活動15周年記念のライブ『LACCO TOWER結成15周年特別企画「黒白歌合戦」(こくはくうたがっせん)』では、前半を「白」、後半を「黒」といったイメージでステージを構築したところからも、自身の内面にある概念を色で意識する向きもあるのかもしれない。

 ポップでじっとしていられないような、気持ちの揺らぎを感じさせる「喝采」では、まさにそのタイトル通り、観客は皆拍手喝采を止めない。そして「純情狂騒曲」、「擬態」と最新アルバム『遥』のナンバーとともに、「未来前夜」「傷年傷女」とキラーチューンを織り交ぜ、会場の空気をさらに熱くしていく。

長きにわたる努力の成果

(撮影=Masanori Fujikawa)

 「これぞLACCO TOWER」と思わせる熱い光景。しかし、単に新しいアルバムの曲を披露するわけではなく、そこに目指すべきライブの形があるような進行は、新たなステップを踏み、確実に進化の段階を進めているようでもある。その姿には、ライブで様々な経験を積んできたこと、新たなアルバムを作り続けてきたこと、新たな曲を作り、それをバンドのものとして積み上げてきたこと、そのすべての意味を明確に表している。

 怒涛のように激しいドラミングが繰り返されたのち、「夜鷹之星」では気持ちを惑わせるような、複雑な曲入りから曲を展開させ、新たなスタイルを映し出した「夕顔」、そしてバラードの「葉桜」と、さりげなく変化球が投げ込まれる。それまで猛烈なビートに酔いしれるように声を上げ、さらに思いが止まらず腕を振り上げていた観客は、その場に立ち尽くし、松川の歌声にじっと耳を傾けていた。

 『遥』ではプロデューサーに亀田誠治を迎えるなど、自身の殻を破るための挑戦をしたというLACCO TOWER。冒頭では心に突き刺さるようなシリアスな楽曲から、どんどん押しまくるようなステージを展開。ステージの構成、パフォーマンス力、演奏力、コンビネーションなど、ここまで高い完成度を見せるバンドも、そういないだろう。

 その新しい風を感じさせる楽曲を要所に取り込みつつも、ステージで違和感なく“LACCO TOWER”らしさを披露していく、それができるのは、まさに長きにわたり努力を積み重ねた結果に他ならない。ある時は観客の胸に突き刺すように、あるいはまた別の時には観客を包み込むように、フロアの観客と対話するようなステージを繰り広げる彼らのスタイルは、変わらない。

皆が笑顔で帰るために

(撮影=Masanori Fujikawa)

 そして現れた静寂、真一ジェット(Key)のソロピアノにちりばめられた「怪人一面相」のコードシーケンスから、ステージはクライマックスを迎えた。ヘヴィメタルを彷彿させる重田のドラムに、細川大介(Gt)のギターが呼応するように激しい音を鳴らし始め、終わりの時へ向けた狼煙を上げる。

 その様子にフロアは大きく波打ちながら尋常でないほどの大きな盛り上がりを見せ、ステージは「火花」まで一気に駆け抜けた。ついに迎えた終幕、自身の殻を破った象徴的な曲ともいえる、ゆったりした雰囲気の「遥」から、ヒットナンバーの「薄紅」で、エンディングへ。松川は「これらも少しずつだけど、上げていくから」とさらなる躍進を誓う一方で「みんな、楽しかったか!? 笑顔で帰れそうか? 笑って帰るんやぞ!」とファンを思う気持ちを叫ぶように投げかけた。

 さらに2度のアンコールに応じたLACCO TOWER。この日の最後は「花束」と名付けられた、まだ誰にも聴かせことのないというバラードナンバー。ツアーラストという意味以上の、彼らの観客への思いを乗せるように奏でる音が、すがすがしい風を会場に吹かせて、大きな余韻を聴く者の心に残したことだろう。

 大きな節目も、彼ら自身の“らしさ”で飾ったこの日のステージ。まもなく迎える新たな年は、その“彼ららしさ”がさらに大きな広がりとなっていくことを、願って止まない。そう思わせる観客の大きな声が、ライブの余韻として会場に残っていた。

(※塩崎啓示の崎は正しくは俗字体)

Zepp DiverCity Tokyoでワンマンライブ『LACCO TOWERワンマンツアー「遥なる軌跡」〜遥なるフィナーレ〜』最終公演を開催(撮影=Masanori Fujikawa) (撮影=Masanori Fujikawa) (撮影=Masanori Fujikawa) (撮影=Masanori Fujikawa) (撮影=Masanori Fujikawa)
(撮影=Masanori Fujikawa) (撮影=Masanori Fujikawa) (撮影=Masanori Fujikawa) (撮影=Masanori Fujikawa) (撮影=Masanori Fujikawa)
(撮影=Masanori Fujikawa) (撮影=Masanori Fujikawa) (撮影=Masanori Fujikawa)

セットリスト

『LACCO TOWERワンマンツアー「遥なる軌跡」〜遥なるフィナーレ〜』
2017年10月28日@東京・Zepp Divercity Tokyo

01. 喝采
02. 未来前夜
03. 純情狂騒曲
04. 傷年傷女
05. 擬態
06. 夜鷹之星
07. 夕顔
08. 葉桜
09. 鼓動
10. 葵
11. 共鳴
12. 相思相逢
13. 怪人一面相
14. 非幸福論
15. 火花
16. 遥
17. 薄紅
encore
EN01. 灯源
EN02. 夕立
w encore
EN03. 花束(新曲、未発表)