神木隆之介の童貞キャラが微笑ましいワケ 大人になった“国民的息子”の今

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 『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)第3話の冒頭、弓神(浅野忠信)の膝カックンに思いっ切り崩れ落ちる羽生(神木隆之介)には思わず吹き出してしまった。交番勤務時代にお世話になった先輩・真下誠(寺脇康文)らの退職辞令交付式のセッティングを気合い十分で仕切っていた後の見事なオチ。そんな緩急の付け方が絶妙な物語の中で、視聴者が羽生を観る目は皆、弓神と同じ。弓神がイジった後に羽生が慌てふためく姿を、弓神を盾に視聴者全員で楽しんでいるように思うのだ。

(参考:神木隆之介 写真

 それもこれも、神木が20年以上という長い芸歴の持ち主だからこそ。自分の息子というのはおこがましいが、羽生を観ていると、小さな頃から知っている近所の男の子が、スーツを着て出勤していく姿を見たような感覚に陥る。子役出身の俳優たちは意外とたくさんいるものだが、こんなにも多くの人から役者として大成したことを喜ばしく思われているのは神木くらいではないだろうか。上から目線で恐縮だが「いい成長の仕方をしたなぁ」と、そんな印象。勝手ながら“国民的息子”という称号を与えたいほどだ。

 神木が演じるのは、適当ながらも鋭い観察眼を持つ相棒・弓神に振り回されつつ、事件を解決に導いていく刑事・羽生虎夫役。一見、まじめな好青年だが、心の内では出世をもくろみ、上司に媚を売る腹黒さを持っている。

 第1話で弓神に「童貞キャラ」を周囲に吹き込まれ「違うからね」と焦って訂正する姿は、神木の武器ともいえる“ピュアっぽさ”が際立ち微笑ましかった。だが第2話では、なんと女教師もののAVを選んでいるシーンが登場。こちらとしては、完全に子どもの部屋でエッチなDVDや雑誌を見つけてしまった母の気持ちである。その後描かれた、中学教師・早杉(水野美紀)と生徒・打越(中川大志)の恋愛を自分に置き換え妄想する場面は、天使のようにかわいかった神木も、いつの間にか大人になってしまったことを認めざるを得えないという複雑な感情と、まだまだピュアな彼をイジるおもしろさの共存が楽しめた。

 そんな神木が好演する羽生が煌めく所以は、バディである弓神との対比にあるだろう。バラエティ番組などで魅せる茶目っ気たっぷりな大人の男性・浅野忠信をそのまま映し出しているかのような弓神適当は、まさにハマり役。大人の余裕と色気、ときに垣間見える優しさという女性からのモテ要素を存分に持ち合わせた弓神には、役者としての浅野の存在感を再認識させられる。

 刑事としての勘にも長けた弓神だが、一方の羽生も負けてはいない。第3話では、事件解決に至ったのは弓神のおかげだと署長に告げるも、「『実るほど頭を垂れる稲穂かな』。僕の座右の銘です」と、うきよ署のサイトに署長の座右の銘として掲載されている言葉を平然と言ってのけ、弓神を見事にダシにする。弓神の「ホントにお前の部下になっちゃうかもな」という言葉に対し「よろしくな!」とニヤつく羽生の姿にはゾクッとした。

 羽生=神木の良さ、弓神=浅野の良さを互いに引き出し合っている凸凹コンビは、まさに最強のバディ。“大人になった神木”と“少年の心を持ち合わせた浅野”が生み出す『刑事ゆがみ』という新奇な刑事ドラマ、かなりの中毒性がある。

(nakamura omame)