トップ昇格が決まった平川怜(左)と久保建英(右)。まずは早期のJ1デビューを目指す。写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

写真拡大 (全2枚)

 11月1日、FC東京はU-18所属の平川怜(2年)と久保建英(1年)のトップチーム昇格を発表した。
 
 この文字だけを見ると、来季から上のカテゴリーで戦うように見える。しかし、彼らは今月1日からプロ契約を結び、高校生Jリーガーとなったのだ。
 
 ユース所属のまま2種登録選手としてJリーグデビューを果たし、シーズン途中にプロ契約を結ぶ――
 
 同じようなパターンは以前に他クラブであった。現在川崎Fに所属する森本貴幸がそのひとりだ。04年に磐田とのJ1開幕戦で2種登録選手のまま東京Vでデビューを果たすと、高校1年生にもかかわらず、同年5月からプロのキャリアをスタートさせた。ただ、それは夏前の話である。平川と久保が去年からJ3で経験を積んでいたとはいえ、シーズン終盤の11月に昇格した例は過去にほとんどない。まさに異例の出来事だと言えるだろう。
 
 では何故、FC東京はそのような形を取ったのだろうか。
 
 平川と久保の実力であれば、高校卒業を待たずにU-18チームを卒業する可能性は十分にあった。前者は正確な技術と類まれなボール奪取能力を武器にボランチで躍動し、後者はバルセロナ仕込みのドリブルスキルで存在感を示しているからである。とはいえ、期待感だけでトップ昇格が決まるわけではない。そこには明確な答えがあるのだ。
 
 会見でFC東京の立石敬之GMは平川と久保をトップに昇格させた理由をこう述べた。

「彼らがインドから帰って来て、それぞれと話をしました。本人たちからも話がありましたが、良い意味で高いレベルに身を置かないと上に行けないという危機感が強く、良い意味で僕らも受け止めました。なので、まずはこのタイミングで契約をしようということになりました」
 
「1日も早く上のレベルでプレーをさせたい」というチームの考えが、1つ上のカテゴリーに進む要因となった。ただ、同年代より一足先にプロの道へ進んだことについて、本人たちの想いも関係している。それがインドでの経験だ。

【PHOTO】2018Jクラブ・新卒入団&昇格内定〜高校・ユース編
 先月、平川と久保はインドで行なわれたU-17ワールドカップに日本代表の一員として参加。両名とも主軸を務め、チームの16強入りに大きく貢献した。ただ、彼らに結果を残せたという満足感はない。久保が言うように「やれた部分もあった」のも事実だが、自分たちの力量不足を痛感させられたことのほうが大きかったのだ。
 
「足りないモノも感じましたし、同年代の選手に負けたくないなと感じた」と久保が同世代との対戦で思い知らされたと話せば、平川も同様のことを口にする。

「ワールドカップを経験して、世界との差を埋めることを考えるようになった。このタイミングでプロになれるチャンスがあったので、今すぐにチャレンジをしたいという想いで決断しました。より高いレベルでやっていかないといけないなと感じたので」
 
 世界との差を気付かされ、危機感を覚えたふたり。ワールドカップでの体験談が、このタイミングでのトップ昇格を決める要因となった。
 
 現在通っている学校などの問題もクリアし、平川と久保は新たな道へと進む。

「U-15ではテクニック、U-18ではそれだけではだめというところを知って球際や戦うという基本的なところを学んだ。それをベースにどんな監督にでも使われる選手になっていきたい」(平川)

「自分は年齢的にもレベル的にもプロとしてはチャレンジャーなので、尻込みせずに挑戦をしたい」(久保)

 プロへの意気込みを語ったふたり。時には壁にぶつかることもあるだろう。それでも、彼らにはインドでの経験がベースにある。
世界で戦える選手になるために――
平川と久保は覚悟を持って、新しい戦いに挑む。

取材・文:松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)